入院目的、休養って聞くとどう思いますか?
精神科に馴染みのない人から見ると、入院自体の必要性に疑問を持たれる方も多い印象です。
特に、休養目的の患者さんって
自宅でとっても調子が悪い、
精神症状が出てしまって家族も手を焼いてる、
なんて聞いてたのに、
入院してみるとまったく穏やか。
落ちついて過ごせている。
薬剤調整なんて何もしてないのに。
治療何もしてないじゃん
これって入院する意味あったの?
なんて思いたくなる気持ちもわからなくもないです。
学生さんなんて、目標も計画もどう立てたらいいかわかんない子が多くて
転倒転落に気をつけます!
って発表してくる子も珍しくない。
もちろん、転けないことも大事なんだけど、転けないために入院してるわけではないですよね。
まずは入院前に困ってた症状の観察は続けてください。
それが出てるか出てないかで今の精神症状の評価が出来ます。
その上で、
なんで入院したら症状が軽くなるのか考えてください。
なんで自宅療養や施設での生活では精神症状がでるんでしょう。
何が違うんでしょうか。
入院することによって距離の出来るストレス因子はありませんか。
それは、家族との関係や施設の利用者スタッフとの関係かもしれません
介護や育児、仕事かもしれません
はたまたその他なにかかもしれません。
そこに、その方に本当に必要なケアが隠れています。
言い方は悪いですが、入院中穏やかに生活を送ることができる、なんてものが目標なら看護師は居なくても達成可能なことが多いです。
要するに何もしなくていいんです。
これ以上楽な患者はいません。
ですが、それだとその人は永遠に入退院を繰り返します。
その間にホスピタリズム(また取り上げます)になって、本当の意味で永遠に病院がなくてはならない人になっていくんです。
しかし、その人の環境に手を付けようとするととても骨が折れます。
時間もかかります。
今回の入院だけでは到底、終わることも、上手くいく事もありません。
数回分の入院、その間の外来診療すべて使っていくことになるでしょう。
その時介入できる範囲では、評価も出来ませんし、自分の介入が正しかったかなんてわかりません。
でもとてもとても長い目で見ると、それは小さいようで大きな一歩になります。