時折、精神疾患合併妊娠の患者さんがいらっしゃいます。
元々精神疾患があって、妊娠された方
妊娠を契機に精神疾患になった方
背景は様々です。
あまり一般には認知されていませんが、妊娠を契機に幻覚妄想状態になる産褥期精神病の患者さん
よくテレビでも見かけるマタニティーブルー、産後うつ。
元々精神疾患があり、妊娠を契機に胎児への影響を考え内服を自己中断、減薬などをし、元々の精神疾患が悪化する。
妊婦さんは、妊娠によるストレス、ホルモンバランスの変化などただでさえ不安定な時期なのにも関わらず、胎児への影響を考え、リスクをさらに上げてしまうわけです。
患者さんのなかには結果として、精神症状の悪化招いてしまうことがあります。
特に私たち医療者、病院が対応に困るのは暴れる妊婦です。
跳び跳ねたり、走り回ったり、医療者への粗暴行為が見られたり
胎児への認識、注意が薄れ、本人だけではなく胎児の安全を確保することはかなり厳しいケースです。
そして、こうした患者さんは、自宅で症状が悪化してしまい救急車を呼んだ場合に、俗にいうたらい回しに会うことが多いです。
産婦人科だけの病院でも精神科だけの病院でも、対応が出来ないからです。
産婦人科と精神科が両方あっても、入院施設がない、また産まれる児のリスクを考えると新生児科がなければさらに受け入れることに抵抗感がでる。
そう考えると、受け入れ可能な病院は地域にいくつあるのでしょうか。
さらに、その病院ですら緊急の受け入れがその時可能な状況なのでしょうか。
胎児の事を考えてお母さんが治療を選択することは私は当然のことだと思っています。
しかし、結果として胎児も危険に晒すことがないようになって欲しいと祈るばかりです。
少しでも調子が悪いと思えばかかりつけ医に相談を。
余裕があれば合併妊娠の受け入れが困難、たらい回し、なんて可能性はぐんと下がるはずなんです。