前回に引き続き同様のテーマを扱っていきます。
内容を不快に思われる方は読むのをやめてください。
over does(略してOD)という方法があります。
薬物過量摂取、大量服薬とも呼びます。
しかし、私が今回取り上げたいのは本気で死のうとした大量服薬ではありません。
薬剤を致死量摂取した患者さんは、死ぬ方法に大量服薬をたまたま選んだだけなのです。
ではなく、他者へのアピールや、突発的な希死念慮から、突発的に行動に移してしまった患者さんを今回は取り上げたいと思います。
よく、救急外来に搬送されて、身体的に集中的な治療は必要ないけど、様子を見るために、と精神科に入院となる患者さんがいらっしゃります。
突発的に死にたい気持ちになって、処方されていた睡眠薬を一週間分内服した、とかです。
細かい種類、量の記載は避けますが、精神科のお薬は一部の種類を除いて、死ぬ為には全く適していません。
安全なのです。
数百錠~数千錠飲まないと死ねない薬が多数を占めています。(もちろん、飲み合わせや状況にもよります)
そして、体に悪影響という視点ではもちろん少量でもどこかしらに影響はあります。
こういう患者さんは、不安定な気持ちから行動化していて、他者の目の前で実施したりしばしば内服後に他者にLINEや電話連絡をしたりします。
死にたい、という気持ちが嘘なのではありませんが、死にたいという気持ち自体がすごく不安定なのです。
なので、精神科に入院になってもすぐにケロッとした顔で、「明日◯◯があるから何時までには家に帰りたいんですけど~」とか、「この点滴、トイレいくのに邪魔だから外せません?」とか言われたりします。
次の日には笑いながらテレビを見て、あっさりと退院していきます。
が、死にたい気持ちが不安定なので、またなにかショックな事があったりすると同様の事を繰り返していきます。
中には本気で死ぬ気はなかった、この程度で死ねないのはわかってた、と言われる方もいらっしゃいます。
共通しているのは、希死念慮が持続はしない、自殺企図が突発的、致死的な方法をとらない等、があげられます。
こういう方はすぐに回復して帰っていきます。
希死念慮も持続しないので入院継続の理由にもならないのです。
ただ、悲しいことに、死ぬつもりはなかった、や、一時的な死にたい気持ちで運悪く命を落としてしまう方もいらっしゃるのも事実です。
繰り返し自殺企図をしてしまうため、当然ながら危険性は増していきますし、感覚も麻痺していくのです。
やるせない気持ちになるケースの一つです。