【実録】「熱分解炉」と偽る違法焼却炉詐欺に騙された話|行政指導から販売店との裁判決着までの全貌

「環境に優しく、ダイオキシンも出ない夢の処分設備です」——。

そんな営業トークを信じて導入した「熱分解炉(小型熱分解装置)」。しかし、実際の正体は行政から違法と判断される「無許可の違法小型焼却炉」でした。

最近、olstech、pistec、joyclebox、mg22eh、OHDと熱分解装置を名乗るものをまた見かけけたので、具体名は伏せますがこの記事を書きます。

結果として行政から指導を受け、設置した設備は撤去・解体を余儀なくされるという事態に。しかし、諦めずに弁護士とともに販売会社へ訴訟を起こし、相手方の主張を論破したことで、当社への行政罰(過料や刑事罰)を回避し、損害回復に向けた判決を得ることができました。

今回は、近年横行している「熱分解炉詐欺」の手口と、行政指導から裁判での戦い方について実体験をもとに解説します。

1. なぜ「熱分解炉」詐欺に騙されてしまうのか?

近年、産業廃棄物や事業ゴミの処理コスト高騰を背景に、「自社でゴミを処理してコスト削減しましょう」という提案が増えています。

その際によく使われるのが「熱分解炉(熱分解装置)」という言葉です。

相手方の典型的な営業トーク・手口

  • 「これは焼却炉ではなく“還元・熱分解装置”だから、廃棄物処理法の届出や設置許可は不要です」

  • 「空気を入れずに高温処理するため、ダイオキシン類が発生せず、構造基準の適用外です」

  • 「法的なクリアランスは確認済みなので、設置するだけでゴミの量を数十分の1に減らせます」

法律(廃棄物処理法やダイオキシン類対策特別措置法)の規制を免れるかのように説明されるため、知識がないと「許可不要の最新エコ技術」と信じ込んでしまいます。

2. 行政指導と撤去命令:法的な現実

導入後、近隣からの煙や匂いの通報、あるいは行政の現場立ち入りによって事態は急転します。

行政(保健所・環境局)の見解

日本の法律上、燃焼に伴う排ガスや残渣(灰)が発生する構造である限り、販売業者がどのような名称(熱分解・プラズマ処理など)をつけようと、実態として「廃棄物焼却炉」と判断されます。

  • 構造基準違反: 800℃以上の温度維持機能や助燃バーナー、温度計など法令で定められた構造を満たしていない。

  • 届出・許可違反: 必要な設置許可や変更届が出されていないため、即座に「野焼き・違法焼却と同等」とみなされる。

結果として、行政から「直ちに使用を停止し、解体・撤去すること」という強い行政指導を受けることになりました。

3. 裁判での攻防:販売店の「誤った主張」をどう論破したか

撤去費用や購入費用の賠償を求めて販売会社を訴訟(損害賠償請求訴訟)するにあたり、相手方は以下のような反論を行ってきました。

相手方の弁明と論破のポイント

相手方(販売店)の主張当方の主張・論破のポイント
「これは焼却炉ではないため、法的説明の義務違反はない」環境省の技術基準や過去の行政解釈を提示。「空気を遮断して加熱する構造」と主張していても、排気が発生する以上、法的には焼却炉に該当することが明白であり、プロである販売店がそれを把握していなかった(または隠していた)過失・違法性を追及。
「導入側の確認不足(自己責任)である」専門知識を持たない買主に対し、販売店側が「許可不要」「違法性はない」と断定的な事実誤認を生じさせる説明を行っていたログや資料を証拠として提出。信頼関係を悪用した説明義務違反(または瑕疵担保責任/契約不適合責任)を主張。

刑事(詐欺罪)と民事(裁判)の違い

立証ハードルの高い「最初から騙すつもりだった」とする警察での刑事事件化(詐欺罪の立件)までは至りませんでした。しかし、民事訴訟において「販売店側の虚偽説明および重大な過失」を完璧に論破できたことが勝敗の分け目となりました。

4. 判決と成果:行政からの罰則を免れた理由

裁判で販売側の悪質性および誤った説明が明確になったことで、以下の重要な成果が得られました。

  1. 行政からの罰則(過料や刑事告発)の回避当社が意図して違法設置をしたのではなく、「業者による誤った説明による被害者」であることが明確になり、行政指示に速やかに従い撤去を行ったため、会社への罰則適用を免れました。

  2. 損害賠償・費用回収の道筋機器の購入費用や撤去費用について、販売店側の責任を認める形での決着(判決・和解)に持ち込むことができました。

5. まとめ・同様の被害を防ぐために

違法な装置をそのまま使い続けると、最悪の場合、事業者側が廃棄物処理法違反(5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方)に問われるリスクがあります。手遅れになる前に、正しい法知識を持って対処することが重要です。