矢岳駅を出発し、しばらくすると進行方向左手に雄大な景色が現れる。
この景色は鉄道マニアにとって“日本三大車窓”の1つとして知られている場所。
日本三大車窓は
・北海道、根室本線の狩勝峠越え(旧線の景色のため、現在は列車から見ることは出来ない)
・長野県、篠ノ井線の姥捨(おばすて)駅(三大車窓の中で、唯一列車から降りて見ることが出来る)
・宮崎県、肥薩線の矢岳越え(今回紹介する景色)
となっている。
矢岳越えで見られる車窓は眼下に見えるえびの市京町温泉辺りとその向こうの霧島連山。地形で言えば、眼下に加久藤(かくとう)盆地、列車が通ってきた矢岳高原などは加久藤カルデラの外輪山に当たる。この外輪山は北部(人吉盆地側)がなだらかで、南部(加久藤盆地側)が崩れやすい急な崖となっている。加久藤カルデラはその後の霧島火山帯の成長に伴い火口などはわからなくなっている。
左側の一番高い山は韓国岳(からくにだけ)。標高1700mとそれほど高くないが名前の由来は「韓の国が見える山」ということから。しかし、実際にこの山から朝鮮半島は見えない。麓のえびの高原からの登山が比較的容易な山でもある。近年噴火の多い新燃岳(しんもえだけ)や天孫降臨の地として名を知られるは高千穂峰(たかちほのみね)はここからの景色では韓国岳やその左側の甑岳(こしきだけ)の裏側にあるため見ることは出来ない。一番右側の山は霧島連山の西端に当たる栗野岳(くりのだけ)。
日本三大車窓を楽しんでもらうために「いさぶろう・しんぺい」はこの辺りでいったん停車する。なので、ゆっくり景色を楽しむことが出来る。
列車が坂を下り続け、進行方向左手の眼下に駅が見えてくる。
肥薩線内唯一の宮崎県の駅、真幸(まさき)駅。地域の方々が大きく手を振って待っている。
この真幸駅もスイッチバックのため、一旦引上線へを進入する。
見えているのは真幸駅から吉松方面へ向かう線路。
引上線で停車後、再び運転士さんが車内を移動して反対側の運転台へと向かう。
真幸駅へと後ろ向きで入っていく。こちらは先程下りてきた線路。つまり、人吉方面へ向かう線路。
人吉方面へ向かう線路が次第に上がっていく。駅に入る手前から結構高低差があることがわかる。
真幸駅ホームへと入線していく列車を熱烈歓迎中。
<つづく>