東京駅からすぐ近く、アーティゾン美術館のマリー・ローランサン展に行ってきました。
パステル調の優しい女性像でユニークな画風を持っている画家ですが、初めは、ピカソやブラックらのキュビズム画家としてスタートしたとは驚きでした。抽象化という意味では、背景や色使いにその特徴が見られますが、描く人物はあくまでも優しい曲線で構成され、見る人が優しい気持ちになれる画家ではないでしょうか。
マリー・ローランサン(1883-1956)は、パリ生まれ、私生児、詩人ギヨーム・アポリネールとの恋愛、ドイツ人との結婚によりスペインへ亡命(第一次大戦)、離婚、バイセクシャル・・・となかなか激しい人生を送られているようです。絵画では、肖像画で評判となり、その後、舞台装置、舞台衣装のデザインでも成功を収めています。
最後の絵は、晩年に書かれた「三人の若い女」というタイトルですが、
後ろに描かれている橋は、昔の恋人ギヨーム・アポリネールの
有名な詩「ミラボー橋」を暗示しているそうです。
「ミラボー橋」
ギヨーム・アポリネール
堀口大学訳
ラボー橋の下をセーヌ河が流れ
われ等の恋が流れる
わたしはおもひ出す
悩みのあとには楽しみが来ると
日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る
・・・
ちなみに、アポリネールは、モナリザを盗んだと疑われて一時逮捕されていました。
それでマリーの恋は冷めてしまったようで、ドイツ人と結婚してしまったようです。
アポリネールは、第一次大戦が終わったあと、38歳の若さで亡くなっています。