東京駅からすぐ近く、アーティゾン美術館のマリー・ローランサン展に行ってきました。

パステル調の優しい女性像でユニークな画風を持っている画家ですが、初めは、ピカソやブラックらのキュビズム画家としてスタートしたとは驚きでした。抽象化という意味では、背景や色使いにその特徴が見られますが、描く人物はあくまでも優しい曲線で構成され、見る人が優しい気持ちになれる画家ではないでしょうか。

 

マリー・ローランサン(1883-1956)は、パリ生まれ、私生児、詩人ギヨーム・アポリネールとの恋愛、ドイツ人との結婚によりスペインへ亡命(第一次大戦)、離婚、バイセクシャル・・・となかなか激しい人生を送られているようです。絵画では、肖像画で評判となり、その後、舞台装置、舞台衣装のデザインでも成功を収めています。

二人の少女 1923

 

女優たち 1927

 

雌鹿と二人の女 1923

 

プリンセス達 1928

 

手鏡を持つ女  1937

 

花束 1939

 

三人の若い女 1953

 

最後の絵は、晩年に書かれた「三人の若い女」というタイトルですが、

後ろに描かれている橋は、昔の恋人ギヨーム・アポリネールの

有名な詩「ミラボー橋」を暗示しているそうです。

 

    

「ミラボー橋」

ギヨーム・アポリネール

堀口大学訳

 

ラボー橋の下をセーヌ河が流れ

われ等の恋が流れる

わたしはおもひ出す

悩みのあとには楽しみが来ると

日も暮れよ 鐘も鳴れ

月日は流れ わたしは残る

 

・・・

 

ちなみに、アポリネールは、モナリザを盗んだと疑われて一時逮捕されていました。

それでマリーの恋は冷めてしまったようで、ドイツ人と結婚してしまったようです。

アポリネールは、第一次大戦が終わったあと、38歳の若さで亡くなっています。