ウクライナ軍が必死にアピールしていたロシアのクルスクへの侵攻ですが当初の勢いは完全に止まってその後はロシア軍に攻撃をしかけても跳ね返されるだけでクルスク侵攻は完全に行き詰ってしまったので、ついにウクライナ軍はクルスクから兵を引き始めました。最大で30,000人ほど(米・英・仏・ポーランド、ジョージア、コロンビア等多国籍の傭兵1,000人も含む)がクルスクにいた時期もあったのですが今は12,000人ほどまでに減っているようです。兵を引き始めた理由がまた実に呆れかえるのですが「ロシア軍が東部ドンバス地域で次々にウクライナ軍の防衛線を突破して特に軍のロジスティクスにとって最重要の拠点となっていた都市、ポクロフスクが陥落しそうになっているから」です。下は現時点でのポクロフスク周辺の状況です。地図は親ウクライナでも親ロシアでもない中立で一番信頼できると言われているSuriyaku.mapさんから提供のものです。

(上の地図で赤い丸で囲ったのがポクロフスク。ここはいくつもの主要な幹線道路(黄色の線)や鉄道が交わる交通の要所)そして今後のロシア軍の動きとして予想されているのが下の矢印のようなものです。

『 Ↄ 』のような形でその間にいるウクライナ軍を包囲しようとしている地域がいくつもありますもちろん包囲が近いとウクライナ軍も急いで退却するでしょうが、すでに退却の経路の道路もロシア軍のドローン攻撃等によって安全ではなくなっているのでその1つ1つの包囲されるであろう『 Ↄ 』の中には各数百人~数千人規模のウクライナ軍がいるものと思われます。つまりもう東部ドンバス地域のウクライナ軍は「詰んでいる」のです。それを認めたくないのが米追従の日本の大手メディアも含めた西側メディアで最近は「ウクライナ軍に早くATACMS、ストームシャドウ、スカルプ(スカルプはストームシャドウの仏版)を使ったロシア国内への"長距離攻撃"を認めるべきだ」とかウクライナ軍が不利な状況に今あるのは米国等がロシア国内への長距離攻撃を認めないからだ」と言っています。これは実におかしな論点でウクライナ軍が仮にATACMS等の長距離砲でロシア国内を攻撃して仮にそのいくつかが成功したとしても上のドンバス地域でのロシア軍の動きは止まるでしょうか?けっして止まることはありません。

ATACMSやストームシャドウがもしも本当にかなり有効性が高いのであればウクライナ軍がそれらで執拗にそして頻繁に狙っていたクリミア大橋やクリミア半島のロシア軍基地はほぼ破壊されていないとおかしいですがそれも全くありません。つまり「ゲーム・チェンジャー」だと宣伝されてNATOがウクライナ軍に与えた兵器全てがロシア軍に対し限定的な打撃しか与えなかったことは明らかなのであって、この期に及んでまだ「ウクライナにロシア領土の奥深くまでATACMSで攻撃できる許可を米が与えるだけでウクライナは形勢逆転できる」等と言っている(少なくとも、ネオコンのビクトリア・ヌーランドやリンゼー・グラハムはそう言っています。)連中が相当頭がおかしく物事を客観的に見ることができなくなっているということです。そしてウクライナ軍によるロシア領土クルスクへの侵攻ですがこれの狙いの1つは「ロシア国内をパニック状態にさせプーチン政権を崩壊に導く」ということだったようですがこれも見事に失敗しました。たしかに自宅から避難をさせられたり親族が怪我や死亡をしたクルスクの住人の方々からプーチン大統領に対して不満の声は上がっていますしかしプーチン大統領の支持率は ウクライナ軍のクルスク侵攻後もわずかに

3.5%低下しただけに留まっています。このことはウクライナのメディアが報じています。

 ↓(日本語に変換したもの)

記事のタイトルからしてプーチン大統領の支持率が相当低下したのかと思いきや・・・↓

 ↓(日本語に変換したもの)

ちなみにウクライナ軍のクルスク侵攻開始は8/6で、8/12~8/18といえばまだクルスクに侵攻したウクライナ軍に”勢い”があって小さな村を次々に支配下に収めたと彼らが大手メディアを使って華々しく発表していた時期です。そのプーチン大統領に対しロシア国民の不満が大いに高まったであろう時期でも「プーチンの支持率が3.5%下落して73.6%になった。これは記録的な低下だ!」と言ってネオコンのシンクタンクISW(ビクトリア・ヌーランドの夫のロバート・ケーガンの兄弟が運営している)が喜んで発表しているのですそしてもう1人岸田文雄と同様、国民から全く支持されていないであろう方がG7首脳の中にいらっしゃるのですが、それがドイツのオアフ・ショルツ首相です。ドイツのマスコミから「極右政党」と呼ばれて目の敵にされている「ドイツの為の選択肢(AfD)」が地方選挙で大勝したのです。 

先日のEU議会議員選挙と言いショルツ首相の党(社会民主党:SPD)とSPDと連立を組む「緑の党」は大きく支持率を失っていることは明らかです。唯一テロでの爆破の難を逃れたノルドストリーム2のうちの1本についてはプーチン大統領も「要望があればガスを送ることはできる」と言っていたのに、それも拒否して高いLNGをわざわざ買って多数のドイツの中小企業を潰し大手企業の工場を中国や米に移転させるのを加速させたのが今のドイツ政府です。今のドイツ政府がロシアに制裁することで自ら喜んでドイツ経済を潰し光熱費の高騰で国民を苦しめているのに、それを支持する国民等いないでしょう。このウクライナ戦争で儲かっている、ラインメタル社等、一部の独軍事企業はもちろん別ですが・・・。