日本は世界200カ国中158位…先進国と比べても投票率が圧倒的に低いのは、いったいなぜ?



日本の投票率が低いのは、政治や選挙に関するリテラシーが低いからです。  たとえば、国政選挙の投票日に、「選挙に行っても世の中が変わる感じがしない」「ロクな候補者がいないから、投票には行く気がしない」などと無関心を口にする人こそ、率先して選挙に行くべきです。  なぜなら、「世の中が変わる感じがしない」と不満を抱くのは、「今の政治は良くない」と思っているからです。「世の中が変わる感じがしない」のなら、そこであきらめるのではなく、政府をつくり直す努力をするべきです。  日本のメディアは、「棄権が増えるのは、政治不信が増しているからです」といった論調ですが、僕の考えは違います。「ロクな候補者がいないから投票には行く気がしない」と考える人は、前提(「候補者は立派な人ばかりであるはず」)が根本から間違っています。そもそも選挙は、「より良い人」を選ぶための制度ではありません。100年以上前の話ですが、英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルが、次のように明言しています。 


「自分を含めて選挙に立候補するのは、目立ちたがり屋やお金儲けをしたい人など、ろくでもない人ばかりである」 

「選挙というのは、こういった信用のおけない人たちの中から、相対的にマシな人を選ぶ忍耐のことである」 

「したがって、民主政は最低の政治形態である。ただし、これまで試されてきた王政や貴族政など過去の政治制度を除けば」 

 こういうリアリズムが理解できれば、投票は簡単です。女性議員が少ないのなら、女性の候補者に投票すればいい。若い議員が少ないのなら、若い候補者に投票すればいい。 

 市民がすべきことは、忍耐を強いられながらも、「100%満足はできないけれど、他の候補者に比べれば、多少はマシ」な政治家を選ぶことです。 

 これらのことがわかっていれば、「良い候補者がいない」からといって、白票を出したり、棄権したりするといった誤った結論には至らないのです。 

 政府と市民は、対立するものではありません。政府は市民がつくるものなので、今の政府が気に入らなければ、選挙に行って政府をゼロからつくり直せばいい。そして、新しいルールをつくればいい。政治を変えるのは自分たちの1票であることを小学校や中学校で教える必要があるのです。