米大統領選「どちらが勝っても米国経済はガラパゴス化」、日本には商機

「米国経済のガラパゴス化」は日本にとってはチャンスになると話すポーゼン所長

銃撃事件で「トランプ当確」のムードが高まったと思いきや、バイデン大統領の撤退を受けて名乗りを上げたカマラ・ハリス副大統領の巻き返しで支持率は拮抗している。米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「どちらが勝利しても通商政策に違いはない」という。新大統領の経済政策は、日本企業にとって「吉」と出るのか、それとも…。

通商政策では大差がないトランプ氏とハリス氏

「トランプ氏とハリス氏、どちらが勝っても米国の通商政策に大きな違いはないだろう。それによって日本企業は大きなメリットを享受できる」と、ポーゼン所長は予測する。日本記者クラブ(東京都港区)で開いた会見でM&A Onlineの質問に答えた。

「貿易や移民の規制はトランプ氏もバイデン大統領も変わらなかった。ハリス氏が勝利してもバイデン政権の方針を継承するだろう。通商政策での違いは、ハリス氏の方が対中貿易規制に厳しい姿勢で臨む可能性が高いぐらい」(ポーゼン所長)という。

両者の通商政策に違いがないのは「米国有権者の多くは貿易問題に興味がなく、大統領選挙での関心事でも15位か16位ぐらい」(同)と、選挙の争点にならないからだ。どちらが勝利しても「自国最優先」の通商政策は変わらないため、「米国経済は内向き化し、米国内で製造したものしか売れないガラパゴス化が進む」(同)ことになる。

日本にとってはチャンスとなる「米国のガラパゴス化」

その結果、意外にも「米国にとっても世界にとっても良くないことだが、日本企業にとっては大きなチャンスになるのではないか」と、ポーゼン所長は指摘する。なぜか。

まずは「(日本企業のライバルである)中国企業が締め出される。米国企業を環境などの規制で縛ろうとするEUも嫌われ、欧州企業も歓迎されなくなるだろう。そうなると米国内に供給される製品バラエティーを確保するために、日本製品の存在感が高まる」(同)と見る。

さらに「日本企業は同じ同盟国のEUや韓国の企業と比べて、米国の消費者にブランドイメージを確立しているほか、米国での現地生産体制が整っていることも大きな強味」(同)となりそう。日本企業による米国企業のM&Aも依然として活発だ。