ハンガリーは7/1からの半年間、輪番で回ってきたEUの議長国になっています。「自国の利益第一」を考えロシアに制裁をしていなくて且つウクライナへの兵器輸出や自国内の領土を通ってウクライナに兵器を渡すのを拒否しているのがハンガリーのビクトール・オルバン首相でスロバキアのロベルト・フィツォ首相と共にEUの中では異色のリーダーだと思います。そのオルバン首相が初めてキエフを訪問してゼレンスキー氏と合って停戦できないかと提案したり、その後にロシアに行ってプーチン大統領と会談したことが大きなニュースになってEU委員長のウルスラ・フォンデアライエン氏や他の加盟国から非難轟々となっています。ロシアのメディア、RTが7/5に報道しているものです。

オルバンのモスクワへのサプライズ訪問はブリュッセル(EU本部)で怒りを引き起こす:ハンガリー首相の”平和への使命”からの主要な教訓。ハンガリーの首相は同じく予告なしにウクライナを訪問した数日後に突然ロシアを訪問した。

ハンガリーのビクトル・オルバーン首相は金曜日にロシアを突然訪問しウラジーミル・プーチン大統領と会談してウクライナ紛争の解決方法を話し合った。この突然の訪問はハンガリー首相が同様の予告なしのウクライナ訪問を行ったわずか数日後に行われたためオルバーン首相のEU首脳の間で大きな怒りを引き起こした。ハンガリーは今年残りの期間、EUの輪番制議長国を務める。しかしオルバーン氏は平和を推進するためにブリュッセルからのいかなる権限も必要としないと主張し自身の話し合いは公式交渉とはみなされないと指摘している。平和ミッションオルバーン首相は今回の訪問は対話回復の第一歩だと述べた。ウクライナに対する西側諸国の軍事援助を批判する同ハンガリー首相は今回の訪問はEUの権限によるものではないと認識しているが「ブリュッセルの快適な椅子から」平和は達成できないと述べた「我々は戦争が奇跡的に終わるのをただ座って待つことはできない」と彼はプーチン大統領と会う前にX(旧ツイッター)に書いた。オルバーン氏は今週初めにキエフを訪問し停戦が正しい方向への第一歩となると主張しヴォロディミル・ゼレンスキー氏にロシアとの和平を求めるよう促した。オルバーン氏は後にウクライナの指導者は彼の提案を快く受け止めなかったと述べた。キエフは軍事的勝利のみが「公正な平和」をもたらすと主張している。ウクライナ紛争の「最短の出口」ハンガリー首相は率直な話し合いで対立する両陣営の間に大きな亀裂があることが確認されたにもかかわらずロシアがさまざまな和平イニシアチブをどう捉えているかプーチン大統領から直接聞きたいと述べこれは重要な一歩だと述べた。プーチン大統領とオルバーン大統領は紛争の「最短の解決策」について協議しオルバーン大統領は後にそれを記者団に明らかにした。モスクワとキエフの立場は依然として「大きくかけ離れている」とオルバーン大統領は認めた。「戦争の解決に近づくためには多くの措置を講じる必要があります。それでも私たちはすでに最も重要な措置つまり接触を確立しました。今後もこれに取り組み続けます」とオルバーン氏は述べた。モスクワのビジョン:プーチン大統領はオルバーン大統領に対し先月外務省で行った基調演説で紛争解決のビジョンを示しそのニュアンスについて議論する用意があると語った。プーチン大統領が言及した提案はキエフがNATO加盟申請を断念しモスクワが領有権を主張するすべての領土から軍を撤退させるよう命じた直後に敵対行為を停止するというものだ。その後欧州における新たな安全保障体制について包括的な議論が行われる可能性があるとプーチン大統領は示唆した。ウクライナ政府はこの提案を拒否した。ロシア大統領はモスクワは交渉を通じて敵対行為を解決する用意があると繰り返し述べた。しかしウクライナ指導部は依然として「最後まで」戦争を続けるという考えを捨てきれないようだとプーチン大統領は指摘した。ロシア大統領はモスクワは一時的な停戦やいかなる形の「凍結された紛争」を選択するのではなく永続的で持続可能な平和の達成を目指していると警告した。プーチン大統領は「キエフ政権が損失の回復、再編成、再軍備に利用できるような停戦や何らかの一時停止があってはならない。ロシアは紛争の完全かつ最終的な終結を支持している」と強調した。ブリュッセルの激怒:オルバーン氏は同日、EUを代表していないと主張していたにもかかわらずモスクワ訪問はEUの指導者や当局者から強い非難を浴びた。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長はハンガリー首相がプーチン大統領に対して「宥和政策」をとっていると非難した。「団結と決意だけがウクライナにおける包括的で公正かつ永続的な平和への道を切り開くだろう」と同委員長は主張した。ドイツのオラフ・ショルツ首相はオルバーン氏のロシア訪問はEUとは何ら関係がなく紛争に関するEUの立場は変わらないと述べた。キエフを声高に支持するポーランドのドナルド・トゥスク首相はオルバーン首相の訪問が迫っているとの噂が木曜日にメディアで流れ始めた後、同首相を激しく非難した。トゥスク首相はそのような訪問が行われるとは信じられないと主張した。ウクライナ紛争の広範な影響:ハンガリー首相によるとロシアとウクライナの長引く紛争はヨーロッパ地域全体に影響を及ぼしておりヨーロッパ大陸が最も急速かつ持続的な発展を享受したのは平時だけだという。以前の公の場での発言でオルバーン首相はウクライナ紛争をエスカレートさせようとする西側諸国の決意がロシアとの直接衝突につながり関係者全員に壊滅的な結果をもたらす可能性があると懸念を表明した。ブダペスト(ハンガリー政府)は紛争によって生じた経済制限はロシアよりもEU諸国に打撃を与えモスクワに屈服を強いることに失敗したと主張している。ウクライナが主張しているのは1991年にウクライナがソ連から独立した当時の領土、つまりクリミア半島も含めてロシア軍が撤退することを求めています。それに対しロシアが主張しているのは2014年に住民投票の末に併合したクリミア半島はもちろん「特別軍事作戦」が開始された2022年に住民投票を行ってロシアへ併合された4州の行政区域(まだロシア軍の支配下にない地域も含めて)からのウクライナ軍の完全撤退とNATO非加盟・中立化を求めています。もしも停戦交渉が英のボリス・ジョンソン当時首相の妨害が入らず「特別軍事作戦」開始から1か月しか経っていなかった2022年3月22日に妥結間近まで行っていた状態で合意できていたならばゼレンスキー氏がいう「1991年の独立当初の領土の保全」というのはほぼ達成されていました。その時はまだドネツク州、ルガンスク州のみがキエフ政権からの独立を求めていて4州の住民投票はまだ行われておらずクリミア半島以外はロシアの併合もない状態だったからです。妥結間近までいった交渉の誠意を見せる為、ロシアはキエフ近郊から兵士を撤退もさせました。(その後に起こって大々的にロシア悪魔化の宣伝にされたのがウクライナ治安部隊による犯行だった「ブチャの虐殺」です。)そしてクリミア半島については1783年からロシア帝国が軍港として使用してきたところでウクライナがソ連から独立した時にはウクライナに対し賃借料を払うということで、ロシアがマイダン・クーデターで親ロシア系のヤヌコビッチ大統領が追い出された前年の2013年まで賃借料を支払っていたのですが、この支払いを継続してロシアが使用するということでもロシア側から提案がされていました。ですから米英の邪魔が入らず2022年4月とかにロシア・ウクライナの両国が和平条約を締結出来ていたなら、ゼレンスキー氏が今言っている条件は、ほぼ達成されていたのです。そしてその場合今ウクライナ軍で60万人ロシア軍で6万人と言われている死者の数は2022年4月上旬にもし妥結ができていたならば今の十数分の一以下の死者数で終わっていたのです。ちなみにゼレンスキー氏は先日初めてウクライナ軍の死傷者数が年単位で持続可能なものではないことを認めました。それなのにゼレンスキーは「最後のウクライナ人まで」戦わせると言っているアメリカのネオコンからの命令に従い公務員や国会議員や特権階級を除いて戦闘可能な年齢の男性がウクライナから全員いなくなるまで、この過酷な戦争を戦わせるつもりなのでしょうか?オルバン首相はロシア寄りだと非難されていますが彼は何度もウクライナに同情的な発言をしています。そして人口規模でも産業規模でもウクライナがロシアに勝てる見込みは全く無いことを分かっているので今以上に死者がさらに何十万人も増えることをやめさせたいと思って積極的に動き始めただけなのです。またウクライナ西部のハンガリーとの国境近くに住んでいるハンガリー人がマイダン・クーデター以降ずっと迫害をされていて無理やり兵士としてもたくさんのハンガリー人が徴兵されていることもオルバン首相が早くこの戦争を終わらせたいと思っている一因です。EUとNATOの加盟国であるハンガリーがこのようにロシアとコミュニケーションを取ろうと公に行動することはとても勇気がいることでスロバキアのフィツォ首相が銃撃されてあやうく殺されそうになった事件を見ても明らかです。犯人はフィツォ首相のウクライナを支援しない姿勢に腹が立ったという発言をしています。またオルバン首相の素晴らしい行動力、発言力を見て本来日本の首相が取るべき立場はまさしくオルバン首相のような行動だと思います。それに対して日本の岸田は何でしょう?戦争をしない「平和国家」を自認しながらアメリカにこびへつらうこと以外に何も考えておらず地元広島での平和祈念式典では世界で唯一民間人に原子爆弾を使用したアメリカについて何一つ言及はせず「ロシアによる核の脅威」と問題をすり替えて演説する等、ロシアに責任をなすりつけようとしました。そして岸田のアメリカ従属政策を何も非難もしない米の奴隷国家でいることを心地よいと思っている与野党の議員たち…。ハンガリーのオルバン首相の全ての政策に賛成というわけではありませんが(イスラエルーパレスチナ問題でのオルバン首相はかなりイスラエル寄りすぎるので)彼の国益第一のブレない態度は日本の国会議員ほぼ全員がオルバン首相の爪の垢でも飲むべきではいでしょうか。人口1000万人に満たない小国のハンガリーがこのように世界の外交の舞台で存在感を発揮して活躍しているのです。ATMのようにポンポンお金を出して米国の後ろに金魚の糞のようについていけばよいと思っている日本の外務省、政治家たち、お金を出さなくても行動や発言で外交で日本の存在感を見せられるという例をハンガリーのオルバン首相が示してくださっているのですから少しは見習ってはどうですかね?