イスラエルのネタニヤフ首相とイスラエル政府は認めたくないことなのでしょうが、ついにイスラエル軍のトップが「ハマス撲滅は無理」と認めました。https://southfront.press/israeli-army-admits-hamas-cant-be-eradicated/

イスラエル軍、ハマスを根絶することはできないと認める。イスラエル国防軍(IDF)報道官ダニエル・ハガリ少将は6月19日ガザ地区の事実上の支配者であるハマス運動を根絶することはできないと異例の認め方をした。「ハマスを破壊し消滅させようとするこの行為は単に国民の目に砂を投げつけるにすぎない」とハガリ氏はチャンネル13ニュースのインタビューで語った。「ハマスは理念でありハマスは政党だ。それは人々の心に根付いている。ハマスを撲滅できると考える人は間違っている」報道官はさらに「[イスラエル]政府が代替案を見つけなければ[ハマスは]ガザを支配し続けるだろう」と警告した。この発言はベンヤミン・ネタニヤフ首相を激怒させ首相官邸は声明で安全保障閣僚会議は「戦争目標の一つとしてハマスの軍事力と統治能力の破壊を定めた」と述べた。「イスラエル国防軍は当然これに尽力している」と声明では付け加えた。イスラエル国防軍報道官部隊はその後声明を発表し軍はハマスの統治能力と軍事力を破壊することを含む政府の戦争目標に尽力していると述べ報道官は「イデオロギーと理念としてのハマスを根絶すること」について話していたと付け加えた。「それ以外の主張は発言の文脈を無視している」とイスラエル国防軍は付け加えた。10月7日のハマス主導によるイスラエルへの奇襲攻撃で1,200人以上のイスラエル人が死亡し200人以上が拉致された事件を受けてネタニヤフ首相とイスラエルの他の高官らはハマスを根絶すると繰り返し誓った。ハガリ氏がこの目標の達成は不可能だと認めたのはガザでのハマスに対する地上作戦の開始以来イスラエル国防軍が少なくとも312人の兵士を失った後のことだ。パレスチナ側ではイスラエルの戦争による死者数はガザ地区のハマスが運営する保健省の最新声明によると37,372人に達した。犠牲者の大半は女性と子供である。さらにガザ地区の大半はイスラエルの爆撃により破壊された。この告白はまた国際社会からの圧力が高まる中、戦争をどう続けるかをめぐってイスラエルの政治指導部と軍指導部の間で意見の相違が高まっていることを浮き彫りにしている。この意見の相違は今月初めにベニー・ガンツ大臣が戦争内閣を辞任した後に初めて明らかになった。「ハマス殲滅は無理」というのは 以前からスコット・リッター氏、ラリー・ジョンソン氏等、西側メディアに毒されていない、客観的な見方をしている軍事評論家はそうは言っていました。ハマスは野外刑務所のようなガザに閉じ込められて迫害を受けているパレスチナ人の”解放運動”であって”政党”でもあるので戦争によって家族も親戚も亡くし仕事もなくなってしまったガザの若い男性にとってはもう失うものは何もないくらいに追い詰められているわけですからハマスに参加して侵略者とテロリスト(パレスチナ人にとってのテロリストはイスラエル人)に復讐するという選択肢が当然出てくるはずです。だからイスラエル軍が「ハマス戦闘員」だとみなした人々を2万人前後殺害したといっても、そこにはまた次の戦闘員が補充されるのであってイスラエルが今やっているようなガザのパレスチナ人全員を飢餓と水不足、不衛生な環境による疫病の蔓延で死に追いやるという戦略はますますハマスに共感、賛同するパレスチナ人の数を増やすだけで逆効果にしかなりません。そしてイスラエル北部のレバノンとの国境付近で戦闘をやっているヒズボラとイスラエル軍の戦闘がもっとエスカレートしていきそうな兆候が出ていますのでそのニュースもご紹介します。ヒスボラは「イスラエルを倒す準備が出来ている」と言っています。もしヒズボラと全面戦争ということになるとヒズボラはハマスとは比べ物にならないほど強く洗練された兵器もミサイルも持っていますのでイスラエルの「自殺行為」になると思います。下の記事はオルタナティブ・メディアのMoon of Alabamaからの6/20付記事ですhttps://www.moonofalabama.org/2024/06/hizbullah-ready-to-defeat-israel.html#more

ヒズボラはイスラエルを打倒する準備が出来ている。ハマスがイスラエルを攻撃した翌日の10月8日レバノンのヒズボラが戦闘に加わりイスラエル北部の軍事施設にミサイルを発射した。北部に住むイスラエル人入植者8万人が家を追われた。彼らは今もイスラエル周辺のホテルに座り込み前線に平穏が戻るのを待っている。ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ氏はガザで恒久的な停戦が合意されるまでヒズボラとイスラエル軍の間で現在行われている北部での報復攻撃は継続されるだろうと発表した。しかしイスラエルの政策を担う過激派はガザでの停戦を望んでいない。彼らはハマスとガザの住民を可能な限り根絶したいと考えている。停戦は彼らのそれを妨げるだろう。一方故郷への帰還を望む北部の入植者からの圧力もあるしかしガザで停戦が成立しなければイスラエル北部とレバノン南部での低レベルの紛争は続くことになる。イスラエル軍と政府はガザでの停戦に向けて取り組む代わりに、南レバノンに侵攻しリタニ川まで占領することを計画している。この計画は妄想だ。ヒズボラは南レバノンに住むシーア派コミュニティに根ざしている。イスラエルはその住民が立ち去ることを期待しているのだろうか?そんなことは起きないだろう。10万人を超える兵力を持つヒズボラは戦闘に備えて万全の態勢を整えている。南レバノンにはよく整備された戦闘陣地やトンネルが縦横に張り巡らされている。15万発以上のミサイル(その多くは長距離ミサイル)が、イスラエルの軍事・経済目標に向けて発射される準備ができている。2006年の南レバノン侵攻はイスラエル軍の完全な敗北に終わった。新たな戦闘で結果が変わると考える理由はない。新たな紛争が発生した場合ヒズボラは国境を越えてイスラエル北部の一部を占領する計画を持っているまた必要な場合には戦争を拡大する用意もある。

ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏はイスラエルがレバノン民兵に対して全面攻撃を仕掛けた場合「ルールも上限もない」戦争になると警告しキプロスがイスラエルによる紛争での領土使用を認めれば標的になる可能性があると脅した。キプロスとイスラエルは二国間防衛協力協定を結んでおり両国は共同演習を実施している。「レバノンを標的とするイスラエルの敵にキプロスの空港や基地を開放することはキプロス政府が戦争の一部となり抵抗勢力がそれを戦争の一部として扱うことを意味する」とヒズボラの指導者は語った。同島のニコス・クリストドゥリデス大統領は水曜日の夕方「キプロスはいかなる軍事紛争にも関与せず自らを問題ではなく解決策の一部と位置づけている」と反応した。ヒズボラとの戦争開始は入植者国家としてのイスラエルの終焉を意味するかもしれない。インフラと軍隊へのミサイル攻撃は入植者がまだこのシオニスト国家に対して抱いている信頼を弱めることになるだろう。紛争が長引けば入植者の多くは母国に帰国するだろう。シオニスト計画に対するこのような危険にもかかわらず米国政権はイスラエルのあらゆる計画を支持している。ヒズボラがイスラエルとの停戦をガザでのより広範な停戦と結び付け続けていることへの不満が高まる中米国はレバノンでのイスラエルによるヒズボラへの攻撃を支援する用意があることを示唆した。米国のアモス・ホッホシュタイン特使は火曜日のベイルートでの会談でイスラエルはヒズボラに対して限定的な攻撃を開始する準備を進めており外交的解決が見つからない場合は米国の支援を受けるだろうとレバノン当局に「率直に」警告したとアラブ諸国の高官がミドル・イースト・アイに語った。ホッホシュタイン外相は火曜日、レバノンのナジブ・ミカティ首相とナビ・ベリ国会議長と会談した。両氏は米国がテロ組織に指定しているイラン支援の組織ヒズボラとの仲介役として利用されている。ホッホシュタイン氏はレバノン当局に対しイスラエルはガザ地区での激しい戦闘があと約5週間続くと予想しておりその後はガザ地区全体への主な攻撃を一時停止すると語った。しかしイスラエルは引き続きハマス幹部を標的とし人質救出のための攻撃を行う予定だ。現在のイスラエル政府の観点からするとガザ戦争の継続にはレバノンでのさらなる戦争が必要である。ホッホシュタイン氏はガザでの戦闘が一時停止すればイスラエル当局はヒズボラを同地域から追い出し避難民となっている約6万人から9万6千人のイスラエル人が秋の新学期が始まる前に自宅に戻れるように、北部国境に全力を注ぐつもりだと警告した。イスラエルとヒズボラは10月8日以来ほぼ毎日銃撃戦を繰り広げてきたが先週イスラエルがヒズボラの最幹部の一人であるタレブ・サミ・アブドラを殺害したことで紛争は激化した。ヒズボラはこれに対しイスラエルに向けて数百発のドローンやロケット弾を発射した。イスラエル軍は火曜夜レバノン攻撃計画を承認したと発表した。イスラエル軍によると同日早朝イスラエルはヒズボラのドローン発射部隊への攻撃を開始した。ヒズボラ指導者ハッサン・ナスララ氏は木曜日の演説でヒズボラは地中海を含むイスラエルに対する「完全な標的リスト」を持っていると述べ軍事行動を倍増させた。「敵は陸、海、空で我々の攻撃を予想しているが我々は制約や規則制限なしに戦うつもりだ」と彼は語った。ヒズボラはイスラエルの港湾都市ハイファ周辺の軍事・経済目標を映した9分間のドローン映像を公開した。複数のヒズボラのドローンが防空軍に邪魔されることなくイスラエル上空を飛行できたことはイスラエル軍にとって大きな面目喪失だ。抵抗軸のメンバーであるレバノンのヒズボラ、シリアのシーア派グループ、イラクの民兵、イエメンのフーシ派は戦闘準備が整っている。抵抗の背後にある主力であるイランを攻撃しなくてもイスラエルと米国はこのような戦争に負ける可能性が高い。もちろん勝つ見込みがなければ彼らはいつものようにおそらくイラン、場合によってはトルコ、そして他の場所に向けて戦争を激化させるだろう。そこからどうなるかは予測できない。なぜ彼らがそのような避けられる戦争を始めるのか私には理解できません。イスラエル政府はレバノンのヒズボラとの戦争で北部地域から強制的に立ち退かされた住民10万人近くの人々の不満の高まりの声を無視できないし、ホテル代などの費用も掛かっていますので、住民が帰還できるよう、レバノン南部を軍事侵攻する計画を持っているようです。しかし2006年のヒズボラとの戦争でもイスラエルは事実上負けていてその時点よりもヒズボラはさらに軍事力を上げていることを考えればいくら米国の軍事支援があったとしても通常の戦闘でヒズボラとその他の抵抗枢軸(シリア、イラクのシーア派組織、イエメンのフーシ派、イラン)に勝つのはかなり困難と思います。ましてやイスラエルがあてにしている米国はウクライナ向けの兵器生産武器輸送でもすでに手一杯の状況です。そうなると私たちが懸念しなければならないのはイスラエルが南レバノンで「戦術核兵器」を使用する可能性です。イスラエルは核兵器の保有自体を否定も肯定もしていませんが、すでに200発以上は持っていることは確実で「先制攻撃」でも核を使用することは辞さない可能性が高いです。そうなると核戦争から中東全域での戦争、さらにウクライナ情勢、東シナ海での中国とフィリピンの緊張も考慮すれば第三次世界大戦への脅威が高まるわけで今のところ対立している当事者のうちの誰一人「自制」を呼び掛けていないのが恐ろしいところです。