明日28日から7月12日までスイス・ジュネーブ 国連欧州本部(パレ・デ・ナシオン)
第56会期人権理事会
ここでビジネスと人権・日本調査レポート報告。
ジュネーブスルー、G7・キシダ首相ら。平和サミットは「大成功」
【ビュルゲンシュトック共同】ウクライナのイエルマーク大統領府長官は16日スイス中部ビュルゲンシュトックで同日閉幕した「世界平和サミット」について「大きな成功を収めた」と述べた。サミットで採択された共同声明に「多くの国が支持を表明した」と語り成果を強調した。国家司法メカニズム 作業部会は訪日調査中、日本での裁判所へのアクセスに対する障壁を含め司法と実効的救済 へのアクセスに関し特に懸念される分野を特定しました。私たちが確認した重大問題の一つにUNGPs やLGBTQ+の人々に関するものなど事業活動の関連で生じるさらに幅広い人権問題 に対する裁判官の認識が低いことが挙げられます。これに対処するため、私たちは裁判官や弁 護士を対象にUNGPs に関する研修を含む人権研修の実施を義務づけることを強く推奨します。 また裁判手続きが長く続くことで救済へのアクセスが妨げられているとするステークホルダーも いました。また刑が軽かったり判決が履行されなかったりすることで金銭その他の補償が十 分に得られないという証言も聞かれました。 私たちは政府の資金拠出により2006年に設置された日本司法支援センターが外国人と十分 な資金を持たない日本人に無償で法律サービスを提供していることを歓迎します。政府は特に社会的に隔絶された集団に対するこのプログラムの視認性を高め司法へのアクセス改善 を図るべきです。また法務省からは人権に対する認識を高めるための人権推進・保護活動や、民事 訴訟手続きのデジタル化など救済へのアクセスに便宜を図る取り組みを行っていることもお聞きしました。 国家非司法メカニズム 国家人権機関(NHRI)はビジネス関連の人権侵害事例における救済プロセスの強化と企業関係者や監査人、裁判官、国選弁護人のビジネスと人権に関する研修の促進に欠かせない役割を演じます。作業部会は日本に専門のNHRIがないことを深く憂慮しています。多くのステークホ ルダーも指摘しているとおりこれによって企業の人権尊重と説明責任を促進しようとする政府の取り組みに大きな穴が開いているからです。 作業部会は政府に対し「国家人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に沿い本格的な独立したNHRIを設置するよう強く促します。NHRIにはビジネス関連の人権侵害を取り扱う明示的な任務と民事救済を提供し、認識を高めビジネスと人権に関する能力を構築し人権活動家を保護するなどのために十分な資源と権限を付与すべきです。NHRI はまた他国の NHRIや経済協力開発機構(OECD)の連絡窓口(NCP)との密接な関係も構築すべきです。 日本は「責任ある企業行動に関するOECD多国籍企業ガイドライン(OECD ガイドライン) 」に基づき2000年にNCPを設置しビジネスと人権のほか、より一般的に責任ある企業行動に関する紛争を取り扱う明確な権限を与えました。しかしNCPが視認性にもインパクトにも欠けることを指摘するステークホルダーが多くいました。設置から23年で取り上げられた事案がわずか14 件であるという事実からもNCPが救済面で実効的な成果を上げるためには、その視認性や制 度的能力、専門性を高めるための施策がさらに必要です。またあらゆるステークホルダーか らNCPが独立かつ信頼に足る存在として認識される必要もあります。NCPはOECDガイドラインだけでなく自身の権限に対する認識を高めるためのツール開発を検討すべきであり、その中には移民労働者や海外の法域で影響を受けるステークホルダーが話す言語で使えるツールも含 めるべきです。日本におけるビジネスと人権関連の重要課題に取り組むうえで作業部会は国家以外が運営する実効的苦情処理メカニズムの重要性を強調します。
作業部会がお会いした大企業のほとんどは苦情処理メカニズムを設置、運営しているもののステークホルダーの中には職場での不祥事を通報することで報復(職を失うなど)を受けるおそれを口にする向きもありました。内部公益通報開示制度の設置を企業に義務づける「公益通報者保護法」は正しい方向への大きな一歩と 言えます。
作業部会は企業が UNGPs(原則 31)に従い権利保有者向けに実効的な苦情処理メカニズム を提供すべきことを改めて強調します。
この点で私たちが確認したグッドプラクティスとしてはあらゆるステークホルダーに開かれた苦情処理メカニズムの設置やバリューチェーン専用の苦情処理メカニズムの立ち上げなどが挙げられます。一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構 (JaCER)による「対話救済プラットフォーム」は「ノウハウ」の蓄積を促し、そのメンバーが UNGPs に基づく苦情処理を受けられる非司法的プラットフォームを提供しているという点で顕著な事例 と言えます。 作業部会は、いくつかの政府機関が苦情通報ホットラインを設けていることを知り嬉しく思うと同時にすべての人が利用できる苦情処理メカニズムを含む「責任ある外国人労働者受入れ プラットフォーム(JP Mirai)」が設けられていることを称賛します。9 つの言語に対応するこのメカニズムでは専門家による相談サービスが受けられます。私たちは JPMirai に対し日本の移民労働者コミュニティに対する視認性を高め信頼性を構築するよう促します。
ステークホルダー集団と関心のある課題領域 作業部会はさまざまなステークホルダーから、その深刻度や認知度の点で多種多様なビジネス関 連の人権問題に関する情報提供を受けました。作業委員会はこのステートメントで協議中にも長く議論された次のテーマ別課題分野に関する暫定的評価を行います。その分野とはダイバーシティとインクルージョン、差別とハラスメント(ヘイトスピーチを含む)労働関係の人権侵害、先住民族の権利バリューチェーンの規制のほか、健康に対する権利、きれいで健康的かつ持続可能な環境を得る権利および気候変動に対するインパクトです。
特に女性や LGBTQI+、障害者、部落、先住民族と少数民族、技能実習生と移民労働者労働者と労働組合のほか、子どもと若者については特に明らかな課題が浮かび上がりました。しかし、これだけで全部ではないことは強調しておくべきです。作業部会はセックスワーカーの搾取やホ ームレスに対する差別などの問題についても情報を得ています。リスクにさらされているステークホルダー集団 女性 日本で男女賃金格差がなかなか縮まらず女性の正社員の所得が男性正社員の75.7%にすぎ ないことは憂慮すべき事実です。日本のジェンダーギャップ指数のランキングが2023年の時点で146か国中125位と低いことを考えれば政府と企業が協力しこの格差解消に努めることが欠かせません。女性はパートの労働契約を結んでいることが多く非正規労働者全体の68.2%と高い割合を占めている一方で男性の非正規労働者の80.4%の賃金しか稼いでおらず日本の 労働構成におけるジェンダーの不平等をよく物語っています。政府が最近大企業を対象に格差を開示するよう義務づけたことは称賛できますがこの取り組みをさらに拡大することでジ ェ ンダーや性的指向に関係なくすべての労働者が平等な賃金と機会を得られるようにするための包括的対策みの確保が欠かせません。さらに2018年には「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が採択され「第5次男女共同参画基本計画」も承認されてはいるものの企業幹部に女性が占める割合は15.5%にすぎないことを考えれば女性の社会進出の遅れは依然として官民がさらに懸念すべき動向となっています。女性が昇進を阻まれたりセクシュアル・ハラスメントを受けたりする懸念すべき事例が報告されていることはリーダーシップと決裁権者のレベルでジェンダーの多様性を促進する必要性を物語っています。性差別と闘い安全で各人が尊重される職場を作るためには政府が厳格な措置を導入するとともに企業がこれを実施に移さねばなりません。
政府と東京電力は福島第一原子力発電所の事故を受けて清掃活動に携わった人々全員の英雄的努力を認識し多層下請構造を減らすための具体的な策を講じ労働者の適切かつ遡及的な補償を確保するとともに労働者の健康上の懸念を労災として認めるべきです。