ここのところロシアに対して非常に敵対的な動きを見せているのがフランスのマクロン大統領ですが仏軍兵士(現段階では1,500名とみられる)をウクライナに送るだけでなく仏製の戦闘機Mirage-2000を数機ウクライナに送ると発表しました。

この戦闘機を操縦するパイロットについてはウクライナ人パイロットをこれから5~6か月かけて育成する と言っています。(パイロットの育成には通常年単位が必要なのにたった5か月で養成するとのこと)ウクライナはF-16戦闘機を60機ほど受け取る予定になっていてすでに12名ほどが米や欧州で基礎訓練を終了した状態のようですがF-16戦闘機ではフランスがウクライナに供給した「スカルプ」イギリスが供給した「ストームシャドウ」の長距離ミサイルが使えません。(ストームシャドウとスカルプは英仏のバージョンで名前が違うだけで同じミサイルです)今までは旧ソ連製のSu-24を改造してストームシャドウ、スカルプを取り付けて発射できるようにしていたのですがYoutubeでの戦況実況チャンネルのMilitary Summary によれば、どうもそれらのSu-24がウクライナの軍用空港に着弾したロシアの数回のミサイル攻撃で破壊されて使えなくなったようです。

それでスカルプが取り付け可能な戦闘機ということで急遽フランス製のMirage-2000を数機、ウクライナへ供給することが決まったようですが「今から半年かけてパイロットを訓練」等と言っている時点で、もうすでにこの戦争は制空力の点でも圧倒的にNATO+ウクライナ側の「負け」が見えている状況であってそれを認めたくないために 可能な限りあがいているという状況ではないでしょうか。またフランスはドイツと共に2014年2019年のミンスク合意での仲介国だったはずですがなぜこんなに今はロシアに対して敵対心をむき出しにしているかというと、かつてフランスが植民地にしていた西アフリカのいくつもの国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)から仏軍が追い出されたり今は追い出されていなくても「出ていけ」と言われ始めたということがあります。(セネガルでも2024.4月に新しく首相になった方が仏軍に撤退を要求し始めました。

上の地図:マリ、ブルキナファソ、ニジェールから撤退を要求された仏軍が移動したのはチャド、コートジボワール、セネガル。しかしセネガルでも新しい首相が「仏軍撤退について話す」と言い始めました。

(上の写真:2024.4月から新たにセネガルの首相になったウスマン・ソンコ氏)ニジェールには米軍のドローン基地もありますが米軍も撤退を要求されていて同じ場所にロシア軍が入ってきました。

米軍はニジェールを9月中旬までに出国する

 ↓(日本語に変換したもの)ロシア軍兵士、ニジェールの米軍基地に入ってきたと米当局者は言う

つまりこれらの西アフリカの国は植民地時代の宗主国であったフランスが今でもこれらの国から資源を格安で奪って通貨発行権も奪っているということなどに嫌気がさしてロシアの民兵組織のワグナーと契約しその後ワグナーがロシア国防省の傘下になったのでロシア政府と契約してISやアルカイダ等のテロ掃討作戦を行い資源も適正価格で買ってくれるところは欧米ではなく中国やロシアだと見ているということです。それはコンゴ民主共和国の大統領フェリックス・チセケディのフランスの国営TVからのインタビューでも分かります(ちなみにコンゴはベルギーの植民地だったところです。)下の写真とインタビューの内容はこちらのYoutubeビデオから取ったものです。

 

(上の2枚の写真:コンゴのチセケディ大統領がフランス国営TVからのインタビューに答えているところ)インタビュアー:あなたは民主主義的でない中国とロシアがどのようにアフリカを発展させることができると理解していますか大統領:彼らはこれで(欧米と)同じやり方を行っていないからです。彼らは失礼な態度や「教えてやっている」というイライラさせるような態度を取らないこのようにかつてアフリカ大陸を植民地にしていた欧米に対しては今でも人種差別的な扱いをされて不満に思っているということではないでしょうか。ですからそういう態度ではないロシアや中国に対しては好意を持っているということです。このように植民地時代からのフランスの影響下にあったアフリカ諸国に対してロシアが積極的な外交を繰り広げていることが気に食わないのでロシアに対して最大限の嫌がらせをしようとしているのが仏のマクロン大統領です。しかしマクロン氏の言動を見ているとしょっちゅう言うことが変わりますしあれほど発言が軽くて信用できない政治家も珍しいと思います。ウクライナでの戦争でも当初はプーチン大統領に直接電話したり会いに行ったりして「和平を仲介したい」というような動きもマクロン氏は見せていました。それで「これ以上プーチンに恥をかかせるな(Don't humiliate Putin)」と過去には言ったりしていましたが今となっては NATOの中でイギリスと並んで最もロシアに対して好戦的な態度を取っているのがマクロン氏です。

このように2022年の6月頃までは「和平の仲介役」になるのに意欲を見せていたマクロン大統領ですが今は「ロシアに絶対に勝たせてはならない。ロシアに勝たせないためには何でもやる」と言っています。しかし欧州にとって一番深刻なのがウクライナ軍兵士が足りなくなっていることですがこれについてはマクロン氏はどうするつもりなのでしょうね。そしてすでにウクライナで戦って死亡した仏軍兵士の棺が母国に戻ってきているようですが野党「国民連合」のマリー・ルペン氏が指摘しているようにマクロンはフランスをロシアとの直接戦争に導こうとしているとしか思えませんね。すでに「負け」が決まっている戦争にどんどん資金と兵器と自国の軍隊まで送ってマクロンやリシ・スナク(英首相)バイデンがやっていることは本当に正気の沙汰ではないと思います。