恐怖遺伝子
脳の中で恐怖を抑える働きをするたんぱく質、セロトニントランスポーターは、遺伝子のタイプによって量が大きく異なるのだそうで、その量が少ない人は、恐怖を強く感じやすいのだそうだ。でもって日本人の場合には、こんな具合に世界最高峰の怖がり屋サンだということが判明した。最近の研究により、脳が恐怖かを感じるメカニズムが明らかになってきている。ある遺伝子をなくすと恐怖を感じなくなるという。その恐怖をコントロールする遺伝子は恐怖遺伝子とも呼ばれており、脳の中で恐怖を抑える働きをするたんぱく質セロトニントランスポーターの量はこの遺伝子によってコントロールされているという。

 我々は本能的に恐怖を感じ取る「恐怖の記憶」を受け継いできている。暗闇を恐れたり、大きな音を恐れたり、ヘビを恐れたり。これらは危機を察知し警戒する為に必要な本能的恐怖である。

 しかしその程度には大きく差があり、「怖がり度」の差が遺伝子によって影響を受けていることがわかってきた。藤田保健衛生大学の脳科学者、宮川教授のマウスによる実験では、通常のマウスは高いところを本能的に危ないと感じるが、恐怖を感じる遺伝子をなくしたマウスは壁のない高い場所でもほとんど怖がらなくなる。恐怖を感じる神経回路は遺伝子によって大きく影響を受けているのだ。また、臆病と恐怖を感じるというのはかなり似たメカニズムだという。
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 その恐怖遺伝子は人種により所有の有無が大きく異なるそうで、最も多く持っているのが日本人だという。恐怖は脳の扁桃体という部分で感じとり、危険を回避するために全身に様々な指令が下される。  人間が恐怖を感じると、カラダには様々な変化が起きてくる。目の瞳孔は大きく開き、心臓が活発に動いて全身の筋肉に血を送り筋肉の動きを活発化させる。これは逃げる・戦うための準備態勢となる。

 それではどう恐怖を向き合っていけばよいのか? 

 恐怖を感じている時に 「恐怖を感じるな、想像するな」と言われたり強く思うと、逆に恐怖を増大させる結果となる。恐怖という感情は言葉や念じることではコントロールできないが、自らの生み出す表情によってある程度抑えられることがわかってきた。

 もっとも効果があるのは笑顔。無理にでも笑顔を作ると恐怖度が下がるという。笑顔を作るとき、人は無意識にうちに口を横におおきく引き、歯がしっかりとかみ合った状態となるが、この状態が一番恐怖を感じなくなるのだそうだ。笑顔の作り方を忘れてしまった人の場合には、鉛筆を横にして歯でくわえると、その表情になる。