■青酸カリの歴史
まずは青酸カリというのは俗称で化学の世界ではシアン化カリウム(KCN)と表記されます。青酸カリという字面からドラマなどでは青っぽい粉で表現されることがありますが実際は面白みのない白い粉で舐めるとメタリックな苦扁桃フレーバーが…といっても伝わりにくいでしょう。端的にいえばアルミホイルと甘味のない杏仁豆腐を口にいれたような味とすれば想像しやすいでしょうか。この青酸という言葉はもともと顔料として15世紀あたりから使われていたプルシアンブルー(のちにいくつかの青色顔料に分類される)が由来となります。ゆえに印刷のCMYKの青はシアンと呼ばれるわけです。これは組成式を見るとFeK[Fe(CN)6]やFe(NH4)[Fe(CN)6]といったモノです。一昔前は腐らせた牛の血を錆びた鉄鍋で灰と一緒に混ぜ、ときおり鍋を叩きながら煮詰めるという方法で作られていました。生成に必要な鉄分は錆びた鉄鍋を叩くことで酸化鉄が中に入り込み反応していったという、こんな方法どうやって思いついたのかは時代のみが知るといったところでしょうか。そして水酸化ナトリウムなどの強塩基とプルシアンブルーを混合すると水酸化鉄(III)とシアン化合物イオンが得られ、そこから蒸留などを経てシアン酸こと青酸が作られるのです。ちなみにプルシアンブルーはセシウムイオンを吸着する不思議な性質を持っており福島第一原子力発電所が爆発して放射性セシウムが日本中にばらまかれた時に話題になりました話は戻ってこの化合物プルシアンブルーのCNという部分こそ青酸カリのCN部分なわけです。青酸の状態では反応性が高すぎて不安定なためカリウム塩やナトリウム塩にしたものが青酸カリウム(シアン化カリウム)青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)となります。
■青酸カリは身近な毒だった?
話は近代になりシアン化合物は多くの化学工業の分野で活躍していくのですが戦後は町中にメッキ工場などがあちこちにあり今とは考え物にならないくらい薬品がズボラに管理されていました。そのためくすねて持ち帰ることが可能だったので「身近な毒」となったのです。故にミステリーにも採用されていたわけですネ。それが時代を経て青酸カリの毒性だけが一人歩きしてミステリー小説や漫画の中で入手方法は不明だけど悪い奴が使う毒というよくわからない状況になってしまったといえます。もちろん現在メッキ工場はなかなか町中にありませんしあっても薬品の管理は厳重で簡単に忍び込んで盗む…なんてことは非現実的です。そしてなにより青酸カリは毒殺に向いていないという最大の問題が立ちはだかります。続編がアクセスしたら一時的にアクセスできない状態にあるか、陰謀により削除された可能性があります。と表示されました。