10. ウィローブルック州立学校の肝炎実験

c1e
image credit:Wikimedia commons

知的障害のある子供向けにニューヨーク州が設立したウィローブルック州立学校で肝炎がアウトブレイクした。

なぜならばそこでは1956年からの14年間ソール・クルーグマンという小児科医によって子供を意図的に肝炎に感染させるというおぞましい実験が行われていたからだ。だがクルーグマンだけを責めるわけにはいかないかもしれない。子供たちの両親が同意していることもあったからだ。両親は子供を実験に参加させることに同意するならば高額な入学料を免除すると持ちかけられそれを承諾していた。クルーグマンらは感染させた後にワクチンを接種したことや肝炎はそれほど重いものではないと主張して研究を正当化している。

9. エボラ・ウイルスに自ら感染した研究者

c3
image credit:Pixabay
エボラは地球に登場した最恐クラスのウイルスなのだがあまりにも不用意に扱って命を落としてしまった研究者もいる。ロシアの研究者がエボラ・ウイルスの調査中にウイルスが付着した針をうっかり自分に刺してしまったのだ


ちなみにその実験で使われていたウイルスはヒトに由来するものではなくモルモットに由来するものだった。エボラにはさまざまな亜種があり程度の差はあるがそれぞれ危険だ。感染してしまえば5~9割が死ぬ。しかも現時点では治療手段がなくただ症状を抑えることができるのみだ。ロシアの事故では研究者は感染して14日後に亡くなった。このときあろうことか研究所は速やかにWHO(世界保健機関)に報告することを怠りそれが助かる見込みをいっそう下げることになった。

8. 数百人を実験台にしたマッドサイエンティスト

c4
image credit:Wikimedia commons

https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:SanQuentinSP.jpgレオ・スタンリー博士はいわゆるマッドサイエンティストとして知られている。彼は米カリフォルニア州のサン・クエンティン州立刑務所の主任外科医として受刑者の精巣を使って怪しげなさまざまな実験を行った。たとえば処刑された遺体から精巣を摘出しそれを生きている受刑者に移植するという実験があった。

https://drvitelli.typepad.com/providentia/2016/11/the-san-quentin-sex-experiments.html

これは若返りや生物学的な犯罪コントロール法を模索することが目的だったという。それだけでは不十分とばかりに博士はヤギやヒツジ、ブタの精巣を受刑者に移植してみたり優生学的な実験や強制的な不妊手術も行っていた。数百人もの受刑者がスタンレー博士の実験台となり普通ではありえない手術の犠牲者となったのである。

7. 刑務所で起こった残酷な放射線スキャンダル

c10
image credit:Pixabay

狂った科学者は放射線の人体実験に参加する見返りに刑期を短縮するという取引を受刑者に持ちかけたこともある。1963~73年ワシントンとオレゴンの刑務所ではお金や釈放といった餌で釣られた130人の受刑者が放射線の人体への影響を確かめるための実験台にされていた。

実験は胸部レントゲン写真2400枚分に相当する400ラドの放射線を睾丸に10分間隔で放射するというもの。受刑者にその危険性は知らされておらずこれによりDNAが損傷して異常のある子供が生まれる恐れがある場合はパイプカットまでされていた。この残酷な実験を行ったカール・ヘラー博士にはその後10年にわたり120万ドルの報酬が政府から支払われている。

6. ロシアの核施設爆発で複数の研究者が犠牲に

c11
image credit:Pixabay

モスクワから400キロ東へ行ったところにサロフという街がある。ここは1946年から現在にいたるまでロシアの核兵器開発の中心地として知られる都市なのだが2019年夏に爆発事故が起こって複数の研究者が犠牲となっている。事故の詳細は伝えられていないが少なくとも5人が死亡し彼らの葬式には大勢が参列したらしい。またこの事故によって周辺の住宅地域にも被爆者が出ているようだ。ロシアの報道によると兵器システムの電源として利用される小型原子炉の実験中に事故が起きたらしい。しかしアメリカやロシア独立系メディアの推測によれば原子力巡航ミサイルの実験だった可能性もあるようだ。いずれにせよ犠牲者をドヴィンスキー湾にまで吹き飛ばすくらい大きな爆発であったことは確かだ。https://www.washingtonpost.com/world/russia-hold-funerals-for-five-nuclear-workers-who-died-in-missile-explosion/2019/08/12/23e23cb8-bd1b-11e9-a8b0-7ed8a0d5dc5d_story.html

5. 深刻な被害をもたらしたアフリカツメガエル

1940~50年代女性が妊娠しているかどうか確かめるためにアフリカツメガエルの尿を使う方法が考案されたことがある。しかしこの妊娠検査をさらに研究するためにサブサハラ・アフリカから持ち込まれた大量のアフリカツメガエルは実験室から逃げ出して大きな禍根を残すことになった。アフリカツメガエルは捕食者であり、もともと住んでいたアメリカ固有の両生類を狙うようになってしまったのだ。さらにカエルツボカビ症という両生類にとっては致死的な病気を媒介しておりこれによっても深刻な被害が生じている。

現在ではアメリカ全土に分布しているほか意外なことにイギリス、オランダ、ドイツといった寒い地域でも見られる侵入性外来種である