ギザの大ピラミット付近で謎の構造物を検出
クフ王の墓とされる「ギザの大ピラミッド」近くの遺跡群のとある空白の一画で地下に何やら”異常"があることが判明したそうだ。吉村作治氏を中心とする東日本国際大学と東北大学の考古学者チームは西の墳墓「マスタバ群」にある、これまで放置されていた区画で非破壊検査を行った。その結果地下に異常を検出したのだ。そこには2mほどの深さにあるL字型の地下構造とさらに下に続くまた別の謎の地下構造の存在を示している。その内部に何があるのか今のところ不明だが早急に発掘調査を行う必要があるという。

キザの大ピラミッド近くの放置されていた区画を調査

エジプト最大のピラミッド「ギザの大ピラミッド」の東西に隣接した土地には古代エジプトのファラオの家族や高官を埋葬した墳墓「マスタバ」が数多く存在する。古代エジプトの古墳ともいえるマスタバは一般に日干しレンガなどで地上に造られた長方形の建造物とそこから地下の墓室へとつながる深い縦穴が掘られた構造をしている。ギザの大ピラミッド周辺のマスタバの多くは20世紀に発掘されたが西のマスタバ群には地上に目立った特徴がないため調査されずそのまま放置されてきた区画がある。2021~2023年にかけてこの空白の区画を調査したのが吉村作治氏を中心とする東日本国際大学と東北大学などの考古学者チームだ。彼らはよくある発掘調査ではなく地中レーダーや電気抵抗トモグラフィーといった非破壊技術によって調査を進めた。最近ではこうした技術によって大ピラミッド自体からも未知の空洞が発見されている。すると奇妙なことが判明したのだ。
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ギザの大ピラミッドから眺めた西のマスタバ群 / image credit:he Giza Project at Harvard University

地下で異常を検出、謎の構造物の可能性

地下で異常が検出されたのだ。いったい何があるのか?研究者らは浅い構造物と深い構造物の組み合わせを示す異常を発見したと推測している。浅い構造物は10x10mの大きさで地表からの深さは最大2m。
明らかにL字型をしており内部は砂などで充満しているという。どうやら作られた後に埋められたらしくかつては「深い構造物への入り口だった可能性」もあると推測されている。さらにその下地表から5~10mの深さにあるのがもう1つの深い構造物だ。こちらも10x10mだが中身についてははっきりせず空っぽである可能性もあるし砂や砂利などで埋まってい可能性もあるという。多くの疑問が残るものの少なくとも「考古学的遺物が存在する可能性」が示されており「その目的を明らかにするために速やかに発掘する必要がある」と研究チームは主張する。
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Googleマップに示された調査エリアの位置。赤い四角は初期の調査エリア。カラーの部分は 地中レーダー(GPR)のマッピング / image credit:Archaeological Prospection (2024)。DOI: 10.1002/arp.1940そこに何があるのか今の時点でははっきりしない。
だが研究の主執筆者である東北大学の佐藤源之氏は新発見があるだろうことに楽観的であるようで、「L字型は自然の地質構造では作れません」とThe Art Newspaper誌で述べている。この研究は『Archaeological Prospection』(2024年5月4日付)に掲載された。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/arp.1940