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 「HAARP」と言えば、常にオーロラ観測システムではなく、気象兵器であるとする陰謀説がつきまとっていたわけだが、米空軍は近々上層大気における高エネルギー物質研究を行っていたHAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)を閉鎖する事を議会に通達した。
 このニュースは陰謀論を信じる人々にとって驚きを隠せないニュースだった。何故なら、HAARPは長らく数々の陰謀論者によって「地球の気象現象をコントロールしている」と実しやかに囁かれていたからである。また、2010年に起きたハイチ地震では、ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスが「HAARPが引き起こしたものだ」と主張し議論を呼んだ。(ちなみに2010年のハイチ地震は、表向きにはカリブプレートと北アメリカプレートが滑ったことによって起きた物だとされている)
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 HAARPはアラスカ州ガコナに位置するHAARP研究ステーションにより運用されており、表向き大気の電離層(上空85から600キロメートル)と呼ばれる区間の性質を調べる為に発足した研究プログラムで、プログラムには米空軍・海軍・アラスカ大学・DARPA(国防高等研究計画局)等が多額の資金を投資した。

HAARPの存在理由

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 米・空軍は予てよりこの電離層が無線通信に及ぼす影響について研究したがっていた。そこで発足したこのプログラムには、電離層に電波ビームを発射する事で電離層に生じる乱れを測定し、これによって生じる電波通信への乱れを研究する目的があったのだ。  また太陽フレアによって生じる電離層・電波通信の物理的な乱れを防ぐ手立てを模索する為の調査機関でもあったようだ。しかし、5月14日の上院公聴会で米空軍科学・技術・工学担当副次官補デイビット・ウォーカー氏は「もはや空軍にとってHAARPの存在価値は無く、空軍は電離層研究を別の方向へ移行する」と自らの考えを述べた。

政治と陰謀

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 米空軍のHAARP閉鎖に反対する声も政治界には多い。メリーランド大学物理学・天文学教授のデニス・パパドプーロス教授はアラスカ・ディスパッチ誌の記者に対して「米空軍はHAARPを評価していないようですが、カナダ・英国・台湾・韓国・スウェーデン・ノルウェイ等の友好国の連邦機関・研究機関・大学等はこの特異な資源を使いたがっています。これはアメリカが今後リーダーシップを発揮し、友好国への影響を示す良い機会となる筈です」と発言した。
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 HAARPは建設に2億9000万ドルもの投資が成されており、その多くがアラスカ州上院議員、故テッド・スティーブン氏によって割り当てられている。2005年には、初の人工オーロラ作成を達成したHAARPだが、大気汚染防止法により設定された環境基準を守る為に施設の大幅な見直しが必要となり、その修繕費用は誰もが払いたがらない程だという。
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 しかし、HAARPはそれでもなお陰謀論を信じる者にとって疑惑の的となっており、地球温暖化、「ヨハネの黙示禄の天使のラッパ」と言われたアポカリプス・サウンド、2011年の東日本大震災、2013年のオクラホマ州ムーアの竜巻、2006年のフィリピンでの地滑り等の原因だとも言われている。また他の陰謀論者はHAARPに人を洗脳したり、現実の構造を捻じ曲げる程の力があったりするのだと信じてやまない。