南米パラグアイの北部に位置するチャコ地域で昨年、地元警察が麻薬取締りのために滑走路破壊作戦を行ったが、その複数の違法滑走路が旧統一教会所有の敷地内にあったことが判明したと、8日付CNNブラジルが報じている。

 

同地域は麻薬密売を行う国際的犯罪組織コカイン・カルテルによる支配が拡大しつつあり、同教会の麻薬密売への関与が疑われている。

 

22年7月6日、地元警察の麻薬取締部隊がチャコ地域に踏み込み、麻薬輸送に関与するとみられる滑走路5本を破壊する作戦を実施した。

 

一体は広大な森林地帯で、近年はコカ葉栽培が合法とされるアンデス地域から、欧州市場に麻薬を密輸する犯罪者たちの主要な物流拠点となっている。

 

麻薬密売人たちはボリビアやペルーからの麻薬を空輸し、その後ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンへ陸路や水路で運び、ヨーロッパ行きのコンテナ船に積み込む手法を使っている。

 

ロイター通信がその滑走路の位置情報を分析した結果、作戦対象の5本のうち4本が旧統一教会の敷地内にあることを突き止めた。

 

旧統一教会は1954年に文鮮明氏によって創設され、合同結婚式や霊鑑商法など、世界各地で謎めいたビジネスを展開し続け、カルト宗教集団として批判されている。

 

中南米での拡張プロジェクトの一環として、文氏は1990年代初頭に初めてチャコ地域を訪れ、2000年に約60万ヘクタールの土地を約2200万ドルで購入し、パラグアイ最大の地主の一人となっていた。 

 

同氏は自伝で、その地域に「神に与えられた楽園」を創る夢について述べていた。

 

しかし、同教会が土地を購入して以来、教会所有地を巡る地域住民とのトラブルや麻薬密売の活動が増加したと報じられている。

 

警察は滑走路破壊作戦で麻薬や飛行機は見つけられなかったものの、滑走路近くには物資やベッド、無線機などを備えた小屋が存在していたと報告している。

 

その後、重機と爆薬を使ったチームが到着し、滑走路のインフラを破壊した。

 

今までのところ、旧統一教会やそのメンバーが麻薬密売に関与している証拠は見つかっていない。

 

麻薬密売組織は、同教会が非常に大きな力を持つ地域の秘密の滑走路に飛行機を着陸させるが、表面上、森の真ん中の小道にすぎない。 

 

同教会の弁護士ミシェリ・ビュン氏は声明の中で、チャコ地域で繰り広げられている違法行為を認識しており、警察の捜査に全面協力していると述べた上で、「我々は違法行為には一切関与していない」と強調していると報じられている。