国際保健規則(IHR)の最新バージョンがこの4月17日に公開されました。これはまだ最終バージョンではなく26日までの間に最終バージョンが出来上がるかどうかも定かではありません。いわゆる「パンデミック条約」の場合と同じように未完成のバージョンで採決に持ち込むといったゴリ押しパターンになる可能性もあります。いずれにせよWHO自体のルールはもちろん全ての外交上および国際法上の慣習とルールは無視され正常な手順が取り払われた異常事態の中でWHOとその背後の勢力が推し進めています。今回のバージョンは表面的な化粧を施した羊の毛皮を被ったオオカミという形容が当てはまると思います。誰もが一番引っ掛かる部分すなわち”non-binding”(法的強制力を持たない)”full respect for the dignity, human rights and fundamental freedoms of persons”(人権と尊厳の尊重)といった削除された箇所は元に戻されましたがnon-bindingであるのは定義上WHOの一時的および常備勧告に関することであり(第一条Definitions(用語の定義))IHRの内容は以前にも増して強固なWHOの統治体制を構築する設計図として描かれており全文章内で契約文章ではxxxを義務付ける」という意味を持つshall xxxxという英語の表現が360回以上使われています。これはこの義務を怠った場合は規則違反として追及されることを意味しておりWHOが公衆衛生と保健に関する緩やかな勧告を行う国際組織であるというイメージは完全に過去の遺物となり強硬な統治機関に変貌していることが分かります。一番中心となる条文は第42条であると考えられます。そこでは「この規則に従ってとられる保健措置は遅滞なく開始され完了されかつ、透明衡平及び非差別的な方法で適用されるものとする。締約国は国内法に従いそれぞれの管轄区域において活動する非国家主体(訳注:国民民間企業などのこと)に対してこの規則に従ってとられた保健措置の遵守及び実施を達成することを目的としてすべての実行可能な措置をとることが義務付けられる。」更にその執行機関として第4条では前のバージョンにあったNational IHR Focal Point(各国のIHR窓口)だけではなく、新たにNational IHR Authority(各国にIHRおよびWHOの統制の執行権限を集中させた当局機関)を設立することが義務付けられています:「各締約国は自国の国内法及び状況に従って国内IHR当局及び国内IHRフォーカルポイント(訳注:窓口)として機能する1つ又は2つの組織並びに本規則に基づく保健措置の実施についてそれぞれの管轄区域内で責任を負う当局を指定又は設置することが義務付けられる。自国の国内法と言うのはこの場合IHRの実施に向けて整備されることが第44条で義務付けられます: 「締約国は可能な限り次のことについて協力しかつ、互いに助け合うことを約束する:(d)本規則を実施するための法律案その他の法的及び行政的規定の策定。(e)WHOが調整する機構を含む、保健製品(訳注:ワクチンなど)へのアクセスの円滑化。」では国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の宣言に関してはどうでしょうか?これは相変わらずWHO事務総長が最終的に決めるものでWHOの専門委員会が助言することになっていますがここが中立的な助言をすることを期待するのは難しいと考えられます。更に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)以外にPandemic alert(パンデミック警報)というカテゴリーが設けられ潜在的にパンデミックになり得る状態の場合に発令されます。そして付録文書1では「(c)公衆衛生上のリスクやその他の事象に備え対応するために現地レベルとの調整を行い支援すること:(i) サーベイランス(vi)誤情報や偽情報への対抗を含むリスクコミュニケーション」という部分が入っています。ワクチン義務化とワクチン証明および移動の制限(ロックダウン)に関してはどうでしょうか?この部分は第35条で前に比べて非常に曖昧かつトリッキーに書かれています:「この規則に基づく診察、予防接種、予防措置又は保健措置は第32条第2項に規定する場合を除くほか法令及び締約国の国際的義務に従い旅行者又はその父母若しくは保護者の事前の明示的なインフォームド・コンセントがなければ、旅行者に対して実施してはならない

と書かれていますが「締約国が本条第一項に基づき健康診断、予防接種その他の予防措置を求めることができる旅行者が当該措置に同意せず又は第23条第1項(a)にいう情報若しくは書類の提供を拒んだ場合には当該締約国は第32条、第42条及び第45条に従い当該旅行者の入国を拒否することができる差し迫った公衆衛生上の危険の証拠がある場合には締約国は自国の国内法に従いかつ当該危険を管理するために必要な限度において当該旅行者に対し第23条第3項に従い次のことを強制又は勧告することができる。(a) 公衆衛生の目的を達成するために、最も侵襲的でない診察;(b) 予防接種またはその他の予防措置。(c)隔離、検疫または公衆衛生の監視下に置くことを含む疾病の蔓延を防止または制御するための確立された追加の保健措置。」これは国際条約である国際人権法違反です。むろんワクチンパスポートなどの「健康証明書」は重要なツールになります。第35条によると「この規則に基づく保健証明書は他の国際協定に由来する文書の形式に関する締約国の義務に従い非デジタル形式又はデジタル形式で発行することができる。」ひとまず、デジタル形式を徹底するのは引っ込めたようです。ですが付録書にもあるようにワクチン証明については詳細な指定があります。ざっと重要な部分をかいつまんでご報告しましたが今回のIHRバージョンは前回の草案よりも整理ができている分だけ全体の構造が分かり易くなっており危険な部分がより巧妙にかくされています

 しかしWHOの目的とするところは一切変わっていないということが明らかになりました。※原文を引用した詳細説明文は近々WCH-Japanのホームページに掲載予定です。要するに何も変わってないということ。

 ・パンデミック宣言はWHOの事務総長(テドロス)が決める

 ・パンデミック警報なるものが作られていて、潜在的なものにも発令できてしまう

 ・ワクチンを接種していないと移動制限があったり入国を拒否されることがある

 ・ワクチンを強制できる

 ・隔離・検疫・監視下における

 ・各国はWHOが決めたことを実行する当局を指定・設置することが義務づけられる

 ということで表現方法が変わっただけで中身は何も変わってません。WCHは国際的な機関です。

WCHJはその日本支部。WHOの情報に関してはWHOが公表したものを翻訳チームが確認し発表しています。一次情報に当たっておりますので正確な情報となります。英語が得意な方は是非WHOのホームページの原文をお読み下さい。