体の健康と同じく、心の健康を維持するためにも、調子が悪い時にはきちんと病院を受診することが大切です。今の自分の心の調子がよいのか悪いのか、セルフチェックしてみましょう。

 

ただの落ち込みではなく、うつ病に近い状態? 

もしも、死にたい気持ちが生じている場合は、すぐ精神科・神経科を受診しましょう。健康を維持するために、体調が悪いと感じたら病院を受診すると思います。同じように、心の健康を維持するためにも、不調を感じたときには病院に行くことが大切です。

 

しかし心の不調は体の不調と比べて、自分でもどれくらい深刻な状態なのかなかなか気付きにくい場合があります。例えば、ノドが痛くなり、咳、鼻水などの症状が出た時は風邪を引いたかなと分かりやすいですが、休日、朝から何もする気がせず、家でぼんやり過ごしているような時は、自分の気分の落ち込みをあまり意識しないかもしれません。

 

実際、心の不調とはどんな状態を指すのか意外に曖昧な点があるのです。心の調子が悪い時にすぐ気付けるように、心の不調とはどのような状態であるのかを知っておきましょう。

 

心の病気の3分類 「気分障害」「不安障害」「思考障害」

心の調子がとても悪い場合は心の病気と一括りに考えられがちですが、心の病気の多くは気分障害・不安障害・思考障害のどれかに分類できます。いくつか代表的な病名をあげましょう。

  • 気分障害……気分が落ち込むうつ病など
     
  • 不安障害……初対面の人と会う時などに不安感が強まり、顔面紅潮、動悸、発汗といった症状が特徴的な対人恐怖症など
     
  • 思考障害……他人が自分に悪だくみをしているなど、妄想が中心的な症状である妄想性障害や現実と非現実の境界を見失ってしまう症状(妄想、幻覚など)が特徴的な統合失調症など

心の病気は一回に一つとは限らず、例えば、対人恐怖症と同時に、気分の落ち込みが強く、うつ病と診断されるような場合があります。

以下にそれぞれのカテゴリーでよく見られる心の症状をまとめましたので、あなたの心の健康状態をチェックしてみましょう。

A 気分障害的な症状
□今まで楽しめていた事が楽しめない
□何をするにも億劫になった
□以前より活動的でなくなった
□頭の回転や動作が以前よりスローになった
□気分の変化が激しい
□物事に集中できない
□自責の念が強い
□性欲の減退
□睡眠の変化(不眠または過眠)
□食欲の変化(食欲不振または過食)
□自殺の事が頭に浮かぶ

B 不安障害的な症状
□不安感が強い
□イライラしやすい
□ある状況への恐れが強い
□まぶたの痙攣など緊張時に起きる身体症状がある
□発汗、動悸、顔面紅潮など不安や緊張が強い時に見られる自律神経系の症状がある
□集中力の低下
□不眠

C 思考障害的な症状
□そこにないものが見える
□聞こえるはずがないものが聞こえる
□疑い深くなった
□人の話がうまく理解できない
□考えがまとまらない
□他人が悪口を言っているように思える

一般的に、上記の症状に該当する箇所が多くあればあるほど、そして、日常生活に支障が生じていればいるほど、心の病気に近くなっている可能性があります。

深刻な場合は、精神科・神経科の受診を考えましょう。特に死にたい気持ちがある場合は心の調子の悪さが重症であると考えられますので、すぐに精神科・神経科を受診する事をお考え下さい。

もっとも、上記の症状にいくつか当てはまったからといって、必ずしも心の病気とはいえません。どれも日常的な不調でも生じるものだからです。

例えば、大切な人を亡くしてしまった後、その人の声が聞こえた気がしたり、恋人にふられて何もする気が起きなくなったという事は、比較的普通にある事です。

 

こうした不調が日常的な不調がそれとも心の病気に近い状態になっているのかを区別するためには、やはり医師の診察が必要です。

ところで、自分の心の調子が悪い事に気付くと言う事は、上記のような症状が自分に当てはまるか、合理的にセルフチェックできる事が前提になります。

 

心の調子が悪くなり過ぎてしまうと、かえって、自分の調子の悪さに気付けない場合があります。もしも心の調子が悪くなっていると自覚できた場合は、なるべく早い段階で気付けるように、普段から自分の心の調子に対する意識を高めて行きましょう!