「電通」が「コネ通」と呼ばれるのはなぜですか?

 電通は今やメディアの報道や番組内容をコントロールできるほどの力を持っています。その理由は3つあり、それらは複合的に絡みあっています。
 まずメディアにとって命である広告主の問題です。例えば東京のテレビ局(キーステーション)の夜7時から11時までのゴールデンタイムのCMの約90%を電通が握っている、と言われています。CMだけでなく、番組の内容にまで電通は影響を及ぼすことができます。公正取引委員会は「広告業界が、電通を頂点とするガリバー型寡占構造となっている」と指摘しています。


 二つ目は電通が全国の主要な新聞社やテレビ局の株主である、という驚くべき事実です。マスコミ以外にも銀行、証券会社など、日本を代表する大企業の株を電通は握っています。電通がマスコミを支配できるのはマスコミと資本関係で緊密に結びついているからです。


 三つ目は人脈です。電通はマスコミ、特にテレビ局の中枢に出向という形で社員を送りこんでいます。「ビデオ・リサーチ」という、視聴率を調査する会社があります。すべてのテレビ局の命運は視聴率に左右される訳ですが、この「ビデオ・リサーチ」は実は電通の傍系会社なのです。


 マスコミに社員を送りこむ一方で電通はマスコミの社長、重役クラスの子弟や各界の著名人の子弟をコネで入社させています。「電通」が「コネ通」と呼ばれる理由はここにあります。雑誌「財界展望」1985年7月号に「子息が電通マンになっている各界著名人一覧表」が載っています(遠藤隆司「徹底調査―電通の人事・人脈騒乱」)。「81年調べ」とあるのでデータとしては古いですが、電通のコネ入社の実態がよく分かります。新聞界では5大紙と共同通信、地方紙、テレビ界ではNHKはもちろんのこと、各地方のテレビ局の幹部と電通はつながっています。その他政治家、大学教授、スポーツ選手、俳優、作家・・・・著名人の名前がずらりと並んでいます。「各界」という言葉が決して大げさではないことが分かります。電通はこのような手法で日本のさまざまな勢力と地下水脈でつながっているのです。
成田豊とはどんな人物ですか?

 成田豊は電通の第9代社長です。社長を9年勤めたあと会長として2年、最高顧問として6年も電通に君臨し、「電通の天皇」と言われましたが平成23年、死去しました。


 成田豊は「韓流ブームの仕掛け人」と言われますが、それは彼自身が日本統治時代のソウル生まれで、韓国とは縁が深かったことによるものと思われます。昭和28年に電通に入社、33歳で早くも新聞の地方紙を扱う地方部長になっています。1988年のソウルオリンピックでは協賛広告を出す企業集めに奔走しました。


 電通マンにとって人脈は命、と言われますが成田豊も幅広い人脈を持っていました。「劇団四季」の浅利慶太との親交は有名で、四季の韓国進出にも当然、成田が深く関わっていたでしょう。現在「劇団四季」には100名を超える韓国人劇団員がいるそうです。成田の裏の交友関係の代表格が大手消費者金融(サラ金)「武富士」の故・武井保雄会長です。消費者金融もパチンコも、経営者の多くが在日韓国人・朝鮮人です。以前は深夜にしか流せなかった賤業であるサラ金やパチンコのCMがプライムタイムに堂々と流れるようになったのも成田が社長になってからのことです。


 社長時代の成田の最大の「功績」は何といっても2002年のサッカー・ワールドカップ日韓共同開催の実現でしょう。本来、日本が主催するはずの大会がなぜか韓国と共催になり、マスコミもこれをきっかけに意味もなく韓国を持ちあげる傾向が強くなりました。韓国ドラマ「冬のソナタ」がNHKで放映されたのは2003年です。ワールドカップ開催を見届けるかのように成田は社長職を譲って会長に就任していますが、事実上は成田の院政だった、というのが実態でしょう。2008年、成田は「30年にわたる韓日文化交流事業を積極的に後援した功労」によって韓国政府から修交勲章光化章を授与されています。韓流ブームは「電通」が仕掛けたものなのですか?

 そうです。
 電通は韓国の国家戦略に加担しています。2008年に通貨危機直前という状況に陥った韓国は2009年、「国家ブランド委員会」を立ち上げました。韓国の映画やテレビドラマ、歌などが品質という点では日本製とまともに戦ったら勝てないことは韓国政府も分かっているので、メディアを利用して売る戦略に打って出たのです。
 例えばK-POPの場合、韓国内でCDを出してもほとんど売れません。韓国では著作権を守る態勢ができておらずダウンロードが簡単にできるからです。そこで日本で稼ごうと歌手が来日するわけですが、その時にメディアが空港に「サクラ」を動員して、あたかもその歌手が人気があるかのように見せかけます。メディアに頻繁に露出するもの=品質の良いもの、売れているものという情報操作ですが、予想以上に多くの日本人が騙されてしまいました。


 テレビ局が韓流ドラマを異常に多く流すのは電通の指示もあるかも知れませんが、コンテンツとして安いという側面もあります。日本人の脚本家が脚本を書き、日本人の俳優が演じるよりも安上がりだという単なるビジネスの発想です。ただドラマだけでなく番組の中でも韓国を不自然に持ち上げるなど、あまりに韓国に媚びる姿勢が目立ちます。テレビ局のプロヂューサーなどに国家観、歴史観がないことも一因です。


 今は武力ではなく情報で戦争する時代です。ですから中国や韓国がメディアを利用しようとするのは国家戦略としては当然のことです。問題は日本政府に戦略がなく、国民も戦後教育の悪しき影響で国家観や外国文化の侵略に対する警戒心のない人が多く、そこに韓流ブームがうまく乗ったのだと思います。

「クロスオーナー・シップ」について
この制度を確立したのは田中角栄首相でした。昭和39年、科学技術専門チャンネルとして開局しながら赤字続きだった東京12チャンネルを日本経済新聞に身受けさせたのは田中首相でした。「クロスオーナー・シップ」によって田中首相=自民党はテレビ局を通して新聞社にもにらみを利かせることができるようになりました。田中首相が失脚するきっかけになった「ロッキード事件」を最初に記事にしたのは雑誌「文芸春秋」でした(筆者は立花隆)。田中首相の金権政治を新聞もテレビも知っていながら記事にできなかったのです。


 新聞社は「新聞特殊規定」という特権に守られています。これは「価格競争をしなくてもよい」ではなく「価格競争をしてはならない」という異常な規定で、独占禁止法からなぜか新聞だけが例外扱いを受けています。民放テレビ局は「放送免許」に守られています。「放送免許」は一度取得したら、事実上剥奪されることはありません。テレビ局を監督しているのは総務省のはずですが、実際にはチェック機能を果たしていません。


 さらに強固に守られているのがNHKです。NHKは総務省の管轄下にある特殊法人ですが総務省の言うことは一切聞きません。NHKをコントロールできるのは唯一、国会の総務委員会ですが既にNHKと癒着しています。新たに総務委員になった国会議員がNHKの体質を改めようとするとNHKはその議員の不祥事を見つけて報道で攻撃します。驚くべき腐敗ぶりです。これが日本の公共放送の実態です。長年、特権に甘やかされ、利権でがんじがらめになったメディアを正すのは容易なことではありませんが、政治家や官僚がそれを出来ないなら私たち国民が声を上げてゆくしかありません。