現在の日本の実質賃金の(対前年比)下落はリーマンショックと並ぶ23カ月連続。次に発表される3月は春闘の結果が出る前であるため24カ月連続とリーマンショック期を上回るのは確実でしょう。しかもリーマンショック期の実質賃金下落は「物価は下落するがそれ以上のペースで賃金が下落したことによる実質賃金の下落」です。それに対し今回は「賃金は上昇しているがそれ以上に物価が上昇することによる実質賃金の下落」になります。【日本の物価上昇率(持家の帰属家賃を除く総合)の推移(対前年比%)】

ちなみになぜ物価上昇率に「持家の帰属家賃を除く総合」を使っているのかと言えば「実質賃金」計算時に同指標を使うためです。図の通りリーマンショック期はデフレ深刻化により物価が下落していました。それ以上のペースで給与が下落し、実質賃金が下がった。今回は物価上昇が実質賃金下落を牽引している。どちらがきついでしょうか

あくまで感覚的ですが今回の方が「精神的なダメージ」が大きいように思えます。理由は所得の下落は一か月に一度しか意識しない。それに対し、物価上昇は毎日意識することになる。そこに自民党のパーティ券キックバックの裏金化が被さり、内閣支持率に加えて自民党支持率も下がっている

 『衆院3補選自民は保守王国・島根1区も劣勢で「全敗」危機 茂木幹事長ら現地入りへ

衆院3補欠選挙(28日投開票)を巡り自民党が逆風に直面している。東京15区と長崎3区の不戦敗が決まっているが、唯一公認候補を擁立した島根1区も報道各社の情勢調査で劣勢が報じられている。終盤に向けて攻勢に転じられるかが焦点となる。(後略)』今週末日曜日に投開票が行われる衆院補欠選挙において自民党は東京十五区と長崎三区に候補者を擁立しませんでした。


唯一立てたのは「保守王国」の島根一区。

その島根一区ですら苦戦をしている。島根一区で敗北するとなると「もはや岸田では総選挙を戦えない」という状況になり政治が一気に流動化することになります。個人的な懸念が二つ。一つ目は「政治不在」の中で財務省が推進する「財政収支の黒字化」が新たなる緊縮目標として骨太の方針2024に盛り込まれるのではないか。二つ目は自民党はもはやどうしようもないですが「代わりに政権を担える野党」が存在していないという事実。ちなみに政策の正しさではなく「勢い」「議席数」の問題です。どちらかと言えば。となれば島根の敗北で一気に政局が動き総選挙。自民党が公明党そして「維新」と組んですら内閣を組めない大敗北に陥り連立のために「真っ当な議論」が起きること。これが最も望ましい結末なのではないかと考えています。議論が続き決められない政治に陥ることこそが今の日本に必要なのですよ。