不安の薬としてベンゾジアゼピン系の抗不安薬があり、精神科のみならず、心療内科やその他の科でも処方されることがあります。

不安に対して、最初は比較的よく効いていたのが、長期間飲んでいると徐々に耐性が付いて、段々と効果実感が乏しくなります。なおかつ、長期間の連用で依存性も付いてしまいます。

私はベンゾ系の薬を説明する時は「お酒と同じです」と患者さんに言います。効きが悪くなってくると、今度は効かないからと量が段々と多くなってしまう。

 

私が不安障害の人に処方するとしたら、メインはSSRI。ただし、SSRIは即効性がないので、それが効き始めるまでの間だけ即効性があるベンゾ系のロラゼパムなど強力な抗不安薬をやむを得ず併用しつつ、徐々に減らして2~3ヶ月以内にゼロにする作戦を採ることがあります。「お酒と同じです」から、耐性や習慣性が付く前に中止すればいいわけです。

しかし、この際も敢えてベンゾ系を使わず、リスパダールなどで間を持たせることもあります。

 

耐性と依存性のあるベンゾ系をダラダラと使い続けて、ロクなことはありません。

しかし、近所の心療内科ではベンゾ系のロフラゼプをよく処方しているし、心療内科ならまだしも、非専門の他科の医者がエチゾラムなど半減期が短く強烈なやつを処方するからビックリします。

ベンゾ系の睡眠薬にフルニトラゼパムがありますが、筋弛緩作用が強く、舌根沈下を起こすと睡眠時無呼吸で却って睡眠状態を悪くします。転医でウチに来た患者さんでこれを4mgも飲んでいた人がいて、これまたビックリ。

さっきのエチゾラムも筋弛緩作用があり、高齢者にはふらつきから転倒を起こしやすくなります。ハルシオンも論外。

 

ベンゾ系が絶対ダメな薬というわけではないですが、ダラダラ使い続ける薬ではありません。ここ一発の切り札的に使うならいいですが、いつまでも漫然と継続処方されることが多い。どこかで後始末が必要。

後始末できない医者は、処方するのやめて欲しいです。