未だに「日本はコロナ対策で財政拡大をし過ぎたから円安になった!緊縮財政が必要だ」とデータを無視した暴論を唱える者が後を絶たたない。いうか財務省が「ご説明」をしているようです。
【G7諸国の政府の債務残高(2018年=1)の推移】


図はG7諸国の政府債務残高の推移です。何で2018年からなのかと言えば「コロナ禍において各国政府がどれだけ財政赤字を出したのか?」が分かるためです。コロナ禍において2018年比で最も財政赤字を出したG7国はカナダ。2021年までにおよそ1.4倍にしました。アメリカ。1.34倍。次がイギリスで1.31倍。そして最も財政赤字を出さなかったのが、日本。何と政府の債務が1.1倍にしか増えていない。

 G7諸国の中で、最も国民に冷たかったのが日本政府なのです。しかも財政拡大によって通貨安になるならばなんで今「ドル高」なの?


世界の2大経済大国である米国と中国は、今後5年間の世界の公的債務増加のうち大部分を占めるだろうと、国際通貨基金(IMF)が報告書で指摘した。米国の支出は金利の高止まりにつながり他の多くの国にも問題になるとの見解を示した。
IMFは世界の公的財政を概観する「財政モニター」で「米中両国の公的債務は、現在の政策の下では2053年までにほぼ倍増すると予測されている。従って両国がどのように財政政策を管理するかは、世界経済に大きな影響を及ぼし、他の国・地域の基本的財政予測に大きなリスクをもたらす可能性がある」と論じた。米国の金利上昇は他通貨に対するドルの上昇を促しドル建てで取引される商品の価格を押し上げる。ドルで借り入れた国の債務負担は膨らみ、多くの国の状況を困難にする。』IMFはアメリカが政府債務(公的債務)を増やし結果的に金利が上昇し、ドル高になるため他国の「ドル建て債務」に影響を及ぼすと警告しているわけでございます。現在の日本の円安は厳密にはドル高です。まさに図の通り、アメリカがコロナ禍で途轍もない財政赤字(政府債務残高の増加)を出し国民を救った。結果的に経済が過熱しFRBが前代未聞の利上げをしたからこそ、ドル高円安になったのです。ちなみに日本の場合は政府にドル建て国債がないため、IMFの懸念は対象外となります。円安は単に日本の輸出製品の競争力を高めるだけです。無論円安は輸入物価上昇をもたらしコストプッシュ型インフレとなります。だからこそ政府は消費税廃止を初めとする政策で国民を救えばいい。もっともコロナ禍でさえ「相対的」に国民を見捨てた日本政府です。やらんでしょうね。とりあえずコロナ禍において「日本が財政を拡大しすぎて」といった妄想はやめい。現実は「日本政府はG7諸国の中で、コロナ禍において最も国民を見捨てた政府」なんですよ