自分がガンになったり、家族や親しい友人がガンになったりしたとたん、「ガン」という文字がやたら目につくようになるものです。本屋に行って関係のありそうな書名の本を手当たり次第買って読んでみたり、インターネットで情報を集めようと考える人も多いでしょう。
このようなときに注意していただきたいことがあります。
ガン情報の中には、科学的に正しい情報を提供しようとしているものも、もちろん多いのですが、
栄養補助食品などを売りつけようという広告も、
正しい情報と似たようなカタチでたくさん紛れ込んでいるのです。そのような広告に引っかかると効果は実証されていないのに、値段の高い商品をたくさん買い込むハメになります。15~20年ほど前までは新聞や雑誌に「この健康食品でガンが消えた」などの “ 書籍広告 ” が毎日のように載っていました。そういう本を買って読んでみると、
ある健康食品を飲んでガンが治った人の体験談がいくつも書かれていました。要はその本は丸々1冊が健康食品の広告で、たくさんの体験談は1人の人が捜索で書いていたことが後になってバレたり、健康食品会社の社長が脱税で逮捕されたり、
出版業界にも厳しく目を付けられたりして、このようなあくどい商法は鳴りをひそめました。代わって最近増えているのが、インターネットによる同様の商法です。一例を挙げると、ガンについて検索すると検索結果よりも上に、ガンの闘病体験談の「広告」が表示されます。そこから誘導されていくと、「医師の相談無料ページ」というページにたどり着き、そこからさらに健康食品を売るページへと繋がります。検索した人は、“ 自分で探した情報 ” と思っているので、あまり疑うこともなく健康食品を買ってしまうのではないでしょうか。しかしそう思うことまで計算された、巧妙な広告が探せばたくさん見つかります。最近は誰でも知ってるような大手の食品会社や製薬会社まで、似たような手法で広告を出している事例が増えています。いつから日本はそんな国になってしまったのだろうとガッカリします。このような広告は非常に巧妙に作られてはいますが、期待する効果が実証されている薬ではないので、薬事法に触れないように「治った」「効いた」という表現は絶対に使っていません。健康食品会社はあの手この手で商品を売ろうとしますが、引っかかって効果のない食品を高い値段で売りつけられるという被害が、少しでも減るように願ってます。機能性食品や栄養補助食品などを使用していることを医師に隠しておく患者さんが非常に多いですが、
大部分の医師達はその「何をしてでも治りたい」という患者さんの気持ちを、誰よりも共有しているつもりだと思います。気兼ねなく相談すれば、
過去の経験や客観的な意見等をお伝えすることもできます。健康補助食品や機能性食品などの代替療法について、頭ごなしに否定する医師も少なくないとは思います。頼りにしているものを否定されて、気分を害する人もいるかと思いますが、
この場合は医師が言うことは根拠のないことでもないのです。