TSMC熊本工場「以前」に決定していた、アメリカのアリゾナ州フェニックスにおけるファンドリー(第1工場と第2工場)が本格的に動き出しました。理由はシンプルで、アメリカ商務省が約1兆円の財政支援を実施すると発表したためでしょう。


 日本の熊本工場は、後から決まった話なのですが、実際の工場稼働はフェニックスより先になりました。理由は、経産省が驚くほど速やかに(補正予算で)TSMCへの財政支援を「した」ためです。
 

 TSMCは、フェニックスでは、新たに2ナノ以降の半導体を量産する第3工場の建設も発表しています。


 半導体戦争において、TSMCは「フェニックスに最先端(3ナノ)の工場を建設する」ことを決断した時点で、アメリカ(及び日本・オランダなど)側についたのでしょう。前にも書きましたが、モリス・チャンは中国生まれではありますが、実質的にアメリカ人です。


 上記を前提にすると、モリス・チャンの、
「自由貿易はすでに死んだ」
 という言葉の真意が分かると思うのです。好き勝手に中国と「利益」のための「ビジネス」ができる時代は終わった、という話です。


 ASMLに至っては、対中輸出規制どころか、中国で稼働中の露光装置の「メンテナンス」まで規制されようとしている。まさに、自由貿易は死んだ。


 さて、日本の経済産業省は、国内における半導体供給能力の「回復」のために、信じがたい俊敏さで予算を執行しています。要するに、実際におカネを払っているわけです。(TSMCの熊本工場がフェニックス工場を追い抜いてしまったのは、実際に振り込みがあったためでしょう)


 さすがの財務省様も、アメリカがバックにいる日本の半導体復活プロジェクトには口を出せないのかと思っていたところ、SONYのイメージセンサ―の工場に対する支援(3千億円)を妨害した。


 この時点で愕然とするわけですが、経産省は本年度の補正予算でSONYへの支援を実施しようと動くでしょう。


 ところが、財務省はSONYへの支援を妨害するどころか、半導体への支援自体を「財政的問題」としつつあります。やはり来たか・・・。


半導体支援、効果検証を GDP比で日本突出 財政審

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は9日の分科会で、経済安全保障の観点から重要性が高まる半導体産業支援の在り方などについて議論した

日本政府は半導体を「戦略物資」と位置付け、国内生産強化に巨費を投じている。委員からは経済効果の厳密な検証や、安定財源の確保を求める意見が多く出た。財務省によると米中対立などを背景に過去3年間の補正予算に計上した半導体支援額は、経済産業省を中心に約3.9兆円。国内総生産(GDP)比は0.71%で、半導体メーカーの誘致や育成に注力する米国の0.21%、ドイツの0.41%をそれぞれ超えるという。
財政制度等審議会の財務省の飼い犬たちは、半導体投資の専門家なのか? いかなる立場から、
「経済効果の厳密な検証が必要」
「安定財源の確保が必要」
などと口にしているんだ。しかも日本の経産省は1990年代以降、国内の産業政策をサボりにサボってきた。結果日本国は先進的な工業国から脱落した。その分を取り返さなければならないわけですから半導体支援額が対GDP比で他の国よりも高くなるのは当然だし高くならなければならない

分科会の増田会長は「巨額の財政出動の効果を検証すべきというのは共通意見だ」などと偉そうなことを語っていますが、半導体に限らず大規模投資の効果がすぐに検証できるか!しかもそもそも効果が出るかどうか分からないから、政府がやるんだよ。絶対に投資効果が(しかも短期で)出る事業があるならば教えてくれ。投資するから。

もはや財務省や財政制度等審議会に所属している連中は「国賊」と呼んでも過言ではないと思います。ある意味敵がはっきりしましたね。国賊を政界から駆逐しない限り我が国に未来はない。

「国賊を政界から駆逐しよう!」