デフレーションとは「Deflate(しぼむ)」です。物価の下落ではなく、需要の縮小(要は総需要の不足)がデフレーションなのです。

例えば去年:外国から製品Aを単価100円で2個仕入れ1個50円の付加価値を付け国内で単価150円で2個売った場合GDP(需要)は100円になります(=50円x2個)この状況から輸入物価が三倍になった。今年:外国から製品Aを単価300円で1個仕入れ、昨年同様に1個50円の付加価値を付け、国内で単価350円で1個売った。GDPは50円と半分になってしまう(=50円x1個)ところが物価は二倍以上に高騰している。需要は半分にDeflateしたにも関わらず物価は上がっている。デフレーションと物価の上昇は普通に両立するのです。もちろん一般的には需要の縮小は物価下落を引き起こしがちですとはいえ輸入物価が上昇しているとき(あるいは消費税が引き上げられたとき)はデフレーション=物価下落となるとは限らんのです。さて物価がどうあれデフレーションは需要の縮小。そしてGDP三面等価の原則により、生産=需要=所得です。需要の縮小は所得の下落であり、当然ながら次の支出(需要)を減らします。需要減が需要減をもたらす悪循環が延々と続くのがデフレーションなのです。民間企業にとって需要不足期に支出を増やすのは不可能です。理由は民間企業は純負債(債務超過)状態になってしまうと存続できないためです。デフレ期には純負債を増やすことで国民(民間)に純資産(黒字)をもたらすことができる政府が支出(※所得移転含む)を拡大しなければならないのです。誰もが純負債を拡大することに躊躇するからこそ、政府が拡大しなければならないのです。何しろ政府は予算を通し、国債を発行する「だけ」で自らの純負債、国民の純資産を拡大することができるのです。国民が実質賃金の下落に苦しんでいるならば、消費税を減税し自らの給与支出(公務員給与など)を引き上げ、公共調達の労務単価を引き上げ、実質賃金引き上げの政策をすればいい。少子化になっているなら自らの負担(純負債増)で国民の可処分所得を増やし婚姻率と出生率を上げればいい。ところが日本政府がやっていることは「企業に賃上げをお願いし、それをいいことに増税(支援金と銘打っていますが、増税)し(相対的に)余裕がある子育て世帯に支給し少子化対策と主張する


支援金制度 岸田首相 “国民に新たな負担求めることにならず”
少子化対策の財源確保のための「支援金制度」の導入について、岸田総理大臣は社会保障負担率が上がることはなく国民に新たな負担を求めることにはならないとして、重ねて理解を求めました。
「支援金制度」の創設などを盛り込んだ子ども・子育て支援法などの改正案は16日、衆議院の特別委員会で岸田総理大臣も出席して質疑が行われました。この中で岸田総理大臣は「支援金制度」の導入について「社会保障負担率が上がることはなく国民に新たな負担を求めないことを約束する。仕組みを国民に理解してもらえるよう、引き続き説明を尽くしていきたい」と述べました。そのうえで事業主からも集める支援金が企業側の賃上げに与える影響を問われ「実質的な負担を生じさせないのは事業主の拠出分も同様だ。あらゆる政策を動員して賃上げの促進を進めており結果として支援金制度が賃上げを阻害することにはならない」と述べました。(後略)』
本気で「国民(企業含む)に実質的な負担を生じさせない」と主張し「あらゆる政策を動員し」というならばとりあえず消費税を廃止すればいいのでは?消費税は事業者に「従業員(固定費用)の個人事業主化(変動費用化)」を促す最悪の税金企業に賃上げを求める時点で、社会保険料と消費税が上がるため、賃上げ分以上の負担を求めている。さらに岸田総理は「(ETF分配金輸入を)仮に子ども・子育て財源に充てると、その分一般財源が不足し国債を発行する必要が生じる。これを財源と考える余地はない」と答弁しています。

国債を発行すれば話が済むにも関わらず「唯一正しい解決策」だけは「財源と考える余地はない」と現実を無視した思い込みで考えている

そんなこと言うなら、国債発行なしで予算執行してみれば?2024年度予算の執行は瞬間不可能になるから。今月から始まった24年度予算も、新たな国債を発行して執行されているんですよ。

国債発行について「財源ではない」と嘘をつき続ける政府をで限り我が国の衰退は止まりません。

「そもそも財源は国債だろ!」