抗精神病薬はもともと統合失調症の薬ですが、双極性障害、うつ病(増強療法)、児期の自閉スペクトラム症の易刺激性(エビリファイ・リスパダール)抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐にジプレキサ)など、有効性にともない適用は拡大しております。精神科診療において非常によく処方する薬です。

 しかし、継続内服するにあたり問題となることが副作用です。とくに患者さんからの訴えで多いお悩みは「食欲増加、太る」ことだそうです。この20年で新しい薬がつぎつぎと開発・販売され「肥満の副作用が比較的少ない抗精神病薬」が増えています。『エビリファイ、ロナセン、レキサルティ』などは「どちらかというと食欲増加の副作用が少ない」といえます。新しいものではラツーダが生化学的な理論上、抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用がわずかであるためもっとも「食欲増加の副作用が少ない」と考えられます。

 (とはいっても、診察では食欲増加の例は時折認めます。陰性症状の改善や睡眠の改善にともない気分が向上したことで食欲が増したのかもしれない。)

もちろん抑うつ気分や不安が解消されることで、食欲不振が改善し体重がもとに戻ることはどの抗うつ薬でも可能性がありますが、薬理学的な作用により太ることは、最近の抗うつ薬ではそこまで多くありません。

 肥満に関わる作用は

 ・抗ヒスタミン作用

・抗5HT2c作用

 があります。⇨ヒスタミンは満腹中枢を刺激します。抗ヒスタミン効果はその逆であり、食欲増進効果があります。⇨5HT2c効果も同様に食欲を抑える作用があるため抗5HT2c効果は食欲増進につながります。この2つの作用をもつ、リフレックス(レメロン:NaSSA)特に抗ヒスタミン効果の強い三環系抗うつ薬(トリプタノール)四環系抗うつ薬(最近はほとんど処方されない)は体重増加につながりやすいです。またパキシルについて、衝動的・脱抑制的な行動が副作用として挙げられますが、過食行動も時折認められます。

 抗うつ薬で肥満につながる薬理作用を伴う薬物は、概ね以上であり、最近処方する機会の多い、SSRI(レクサプロ、ルボックス、ジェイゾロフト)SNRI(サインバルタ、イフェクサー)などは、そこまで体重増加を気にする必要はないです

むしろSNRIはノルアドレナリンを増やし交感神経的になるため活動性が増し代謝が促進される可能性があります。(痩せやすいかもしれない。)

ここからは私の話ですが、今はSSRIが主流ですが薬によっては、断薬の時に離脱症状が酷く出る人が多い。ただ、断薬しても全く離脱症状が出ない人も居るので一概には言えない。ネットで調べてみたらSNRIの方が離脱症状がSSRIより酷く出る人が多いみたいです。