メニエール病の治療

メニエール病対策4か条

治療の基本は生活習慣の改善です。多くの場合、それだけで症状が和らぎ、めまいを予防することができます。メニエール病対策4か条で症状をコントロールします。

  • ストレスコントロール
    ストレスの原因を突き止めて、それを取り除くことが大切です。また、十分な睡眠をとって疲れをためないことや、積極的に気分転換をしてストレスを解消するのが効果的です。
  • 塩分をとりすぎない
    塩分の摂取量が多いと、体内の塩分濃度を調整しようとして体内に水がたまりやすくなります。減塩を心がけましょう。
  • 適度な水分補給
    内耳が水ぶくれのような状態になるのが原因なので、水分の補給を控えたほうがよいと思われがちですが、体内の水分が減ると、体が体内の水分を保とうとして、かえって水分が排出されにくくなります。水分は適度に補給するようにしましょう。カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶は控え、塩分を含まない水や麦茶がお勧めです。
  • 適度な運動は、ストレスの解消だけでなく、耳の血液の流れを改善して症状を和らげることにつながります。特にウォーキングなどの有酸素運動が効果的とされ、好きなスポーツに打ち込むことで症状が改善したケースもあります。

薬による治療

メニエール病 主な薬
  • 利尿薬・・・尿の量を増やして水分の排出を促します。
  • 循環改善薬・・・耳の血液の流れを改善して症状を和らげます。
  • ステロイド薬・・・めまいの症状が強い場合や聴力が急激に低下した場合は、内耳の水ぶくれを軽減したり、耳の機能を改善させるために使います。
  • 漢方薬・・・体内の水分の代謝のバランスを調整し、めまいの症状を和らげる効果が期待できる、五苓散(ごれいさん)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、柴苓湯(さいれいとう)を使うこともあります。

薬で改善しない場合

生活習慣の改善や薬による治療を行っても改善しない場合、次のような治療も検討されます。

中耳加圧療法

耳の中にチューブを挿入し、チューブの先端から空気の振動を送り、中耳に圧力を加える治療法です。中耳に圧力を加えることで、内リンパの循環が促されると考えられています。医師の指導の下、1日2回、自分で行います。6〜7割の人に効果があるとされています。2019年に健康保険が適用になりました。

耳の中にチューブを挿入する。

耳の中にチューブを挿入する。

空気の振動を送って圧力を加える

空気の振動を送って圧力を加える。

リンパ液の循環を促す

リンパ液の循環を促す。

鼓室内(こしつない)薬液注入法

鼓室内(こしつない)薬液注入法

中耳にある鼓室という空間にゲンタマイシンという抗菌薬を注入する治療法です。三半規管の過剰な働きを抑えて、めまいが起こるのを防ぎます。耳の聞こえが悪くなることがあるため、すでに難聴が進行した人に検討されることが多い治療法です。このほかステロイド薬を注入する方法もあります。

内リンパ嚢(のう)開放術

内リンパ嚢(のう)開放術

内耳にある内リンパ嚢という袋状の器官を切開し、余分な内リンパを排出する手術です。手術は2時間ほどですが、全身麻酔をして行うので手術後に1週間ほど入院が必要です。

突発性難聴の治療は早く!

突発性難聴の場合は少なくとも2週間以内には治療を開始する必要があります。1か月以上経過した場合、難聴の治りが悪くなったり難聴が続いてしまう可能性があります。