脳卒中とは


脳卒中は、正式には脳血管障害と呼ばれ、日本人の三大死因のひとつとして知られています。脳卒中は、脳の血管が破れる脳出血と、脳の血管が詰まる脳梗塞の2つに分けられます。

                   脳出血
脳出血脳出血には、脳内出血とくも膜下出血があります。脳内出血は、ある日突然発症することが多く、脳内の細小動脈が破れて出血が起こっている状態です。中には頭痛や吐き気の症状などの前兆が現れる場合もあります。一方、くも膜下出血は、脳動脈瘤が破裂した状態で、ものが二重に見えたり、激しい頭痛の初期症状が現れます。

脳梗塞

脳梗塞脳梗塞は、動脈硬化によって血管が狭くなり、最終的に閉塞する脳血栓と、血液の塊によって突発的に血管が詰まる脳塞栓の2つがあります。
脳梗塞の発作の前兆として、半身が痺れる、手に持っているものをするっと落としてしまう、言葉が出てこない、ろれつが回らないなどの症状があります。脳卒中の初期症状が軽度である場合は、たいしたことがないと放置しやすい傾向があります。早い段階で適切な治療をしないと症状が悪化してしまうので注意が必要です。いつもと違う頭痛があるなど、気になる症状がある場合は早めに受診してください。脳卒中は、早期発見が非常に大切です。一般の病院で頭痛時に診察を受け異常なしと診断された場合でも、専門医療機関を受診した場合、別の診断結果が出ることがよくありますので、少しでも不安がある方は、ご相談ください。

脳卒中のよくある症状

こんな時は急いで病院へ

早期発見・早期治療の大切さ脳卒中は、発病すると身体の麻痺をはじめ言語障害、意識障害などの後遺症を残す特徴があります。ときには命にもかかわってくる怖い疾患です。脳卒中は三大生活習慣病の一つとして知られておりますが、実は昨今の医療進歩によって脳卒中で死亡する例が少なくなりました。数十年前までは、日本人の死因トップが脳卒中でしたが、現在はがん・心臓病に次いで3位となっています。これは死亡率の高い脳出血が減ったことと関係していますが、高齢化に伴い脳梗塞罹患者数が増えている現状です。脳卒中は予防することができる病気です。主な原因は動脈硬化ですが、その要因である高血圧症や脂質異常症、糖尿病、喫煙など、生活習慣病をコントロールすることで脳卒中を予防できます。そのためにも、日頃の生活習慣を見直しながら、定期検診を心がけましょう。

脳卒中予防のためのポイント塩分を控えた食生活で、コレステロールを減らす仕事を離れてリラックスできる趣味などでストレスを溜めない・適度な運動を習慣化する40歳を過ぎたら定期的に脳ドックあるいは脳神経専門医を受診し、脳の健康状態をきちんと把握する30代になったら自分の血圧を把握すること、コントロールすることを心がける

脳梗塞のメカニズムは?

まずは脳梗塞の起き方についてです。脳梗塞は大きく分けて次の3つに分類されます。

①動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞は高血圧、高脂血症、糖尿病という所謂生活習慣病に伴い、血管壁にコレステロールが溜まる「動脈硬化」という病態が主な原因です。

予防のためには、食事や運動に気を付けることや薬物治療を通して「動脈硬化の進行」を抑えることが最も重要です。

②心臓から流れてきた大きな血栓による心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は心房細動といった不整脈などの心疾患が原因で心臓内に血栓が生成され、それが血流に乗って脳血管に運ばれることで引き起こされます。

予防には心疾患の早期発見・治療が重要となります。

③高血圧により穿通枝という比較的細い血管が詰まるラクナ梗塞

ラクナ梗塞は「高血圧」が主因とされ、予防のためには血圧の管理が重要となってきます。

脳梗塞の前兆を知るために

脳梗塞の主な前兆、症状としては下記のようなものが突然現れることが特徴的です。複数の症状が現れたり、1つだけであったりもします。

以下は、万一に備えていただくために「脳梗塞の前兆を症状で判別いただくためのチェックリスト」です。一つであっても当てはまるものがあれば要注意です。

【重要】脳梗塞の前兆を逃さないための症状チェック
※ 一つでも当てはまるようなら、すぐに病院にご相談ください

  • 運動障害

  • ☐ 片半身が動かしにくくなる
  • ☐ 片側の顔に力が入らない
  • ☐ 箸や鉛筆が持てない
  • ☐ 片足を引きずってしまう
  • ☐ 呂律が回らない

 

  • 言語障害

  • ☐ 言葉が出てこない
  • ☐ 言葉の意味がわからない
  • ☐ 相手に話が伝わらない

 

  • 感覚障害

  • ☐ 片半身が痺れる
  • ☐ 触られてもわからない

 

  • 視覚障害

  • ☐ものが二重に見える
  • ☐ 視野が狭くなる
  • ☐ 目の前が真っ暗になる

 

  • 平衡感覚障害

  • ☐ 体が傾く
  • ☐ まっすぐ歩けない

前兆があっても大丈夫と自己判断することは危険です

上記のような症状が急に現れると驚かれ、多くの方は医療機関を受診されると思います。しかし、中にはすぐに良くなってしまうことがあります。その場合、「気のせいか」「まあいいか」と自己判断で治った、大事ないと意図的に良い方に考えて医療機関を受診されない方が一定数いらっしゃいます。実際、2週間も症状が続いたにも関わらず、その後ようやく医療機関を受診した方もおられました。実際、厚生労働省の研究班の調査では症状が続いていれば8割の方が医療機関を受診すると答えたのに対して、症状が自然に改善した場合は、治った、大丈夫だろうと、5割程度しか受診しないと答えています。

大丈夫だろう…は極めて危険です!

症状が一時的であって、その後治まった場合でも、再度同様の症状を起こし、今度は一生涯の症状となることがあるからです。一過性の脳梗塞症状のことを一過性脳虚血発作と言い、脳梗塞の前兆と考えられております。前兆は体からのサインです!上記のチェックリストに、一つでもチェック☑があるようなら、早急に医療機関で相談してください。

軽い脳梗塞?一過性脳虚血発作とは

一過性脳虚血発作は文字通り、一時的に脳梗塞のような症状が出現し、時間経過とともに(多くは30分程度)自然に改善するような病態です。分かりやすく地震に例えると余震であり、本震の前兆、前触れとして真剣に向き合うべき事柄なのです。つまり、数日以内に「本格的な脳梗塞を起こす可能性」があるため、「脳梗塞の前兆」とも言われております。症状が良くなったからもう良い、疲れが出たからだろうと考えていると、足元を掬われる可能性があります。実際、一過性脳虚血発作患者の約15%が90日以内に脳梗塞をきたすとされ、一過性脳虚血発作患者には脳梗塞の予防が重要です。特に脳梗塞に至りかねない、リスクが高いとされる項目は以下の通りです。ご自身や、身の回りの方が該当するなら、更なる注意が必要です。

  • 脳梗塞のリスクが高くなる条件

  • ・年齢(60歳以上)
  • ・血圧(140/90mmHg以上)
  • ・臨床症状(片麻痺、言語障害)
  • ・症状の持続時間(10分以上)
  • ・糖尿病

リスクが高い方は入院したり、お薬を開始したりすることがあります。その時に用いるのがアスピリンやクロピドグレルといった血液を固まりにくくするお薬です。そういったお薬を用いたり、高血圧・高脂血症・糖尿病といった疾患へ生活習慣の介入や薬物治療を行ったりすることで再度の一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防していくこととなります。

  • 症状を感じたら、自覚したら!脳専門病院にご相談ください
  • ・脳神経内科
  • ・脳血管内科
  • ・脳外科

まとめ・脳梗塞の前兆を逃さないために!初期症状をチェックリストはこちらです!

脳梗塞の前兆からそれぞれの症状、軽い脳梗塞とも言われる一過性脳虚血発作、脳梗塞の治療についてご紹介させていただきました。前兆となる症状が現れた自己で判断されることなく、専門院をご受診ください。高血圧・高脂血症・糖尿病といったリスクのある方は特に、チェックリストに当てはまるような症状、それ以外にも違和感をお感じになられたら医療機関に至急ご相談されることをおすすめします。