トリンテリックス(ボルチオキセチン)とは?

トリンテリックスの効果と副作用について、精神科医が解説します。

トリンテリックス(一般名:ボルチオキセチン)は、セロトニン再取り込み阻害作用だけでなく、様々なセロトニン受容体の調節に働く抗うつ剤になります。従来のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤の作用を中心に、その他の様々なセロトニンを中心とした受容体を調節することで、複合的な効果を期待するお薬になります。

S‐RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節)に分類されています。基本的にはセロトニンの働きを高める作用のあるお薬でセロトニン:不安や落ち込みといった精神症状の改善に効果が期待できます。ですからうつ状態だけでなく、不安の病気にも効果も期待されています。

その他のモノアミン(ノルアドレナリンやドパミン)、アセチルコリンやヒスタミンに働きかけ

複合的な効果が認められると考えられています  日本では2019年11月に発売となった新しい抗うつ剤ですが、欧米では2013年より発売となっています。ジェネリック医薬品は発売されてない。

トリンテリックスの効果が期待できる病気

トリンテリックスはどのような効果が期待できるのでしょうか。トリンテリックスはセロトニンの調整を行うお薬ですが、基本的にはセロトニン1A受容体の刺激を強めることで、抗うつ効果や抗不安効果が期待できるお薬になります。このためうつ病・うつ状態、さまざまな不安障害、強迫性障害、ストレス障害などに効果が期待できます。副作用がマイルドな抗うつ剤として、うつ状態の方を中心に使われることが多いです。抗不安効果も期待できるため、パニック障害や社交不安障害といった様々な不安障害にも、適応外で使われていく機会が増えています。強迫性障害やストレス障害にも効果が期待されます。

トリンテリックスの適応が正式に認められている病気

トリンテリックスの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。うつ病・うつ状態(2019年)トリンテリックスは海外でも2013年に発売されたばかりのお薬で、海外での適応もうつ病のみとなっています。

トリンテリックスの特徴

<メリット>
副作用がマイルド
1日1回の服用で効果が期待できる
離脱症状が少ない
性機能障害が少なく減らしやすい
<デメリット>
効果が穏やか(即効性はない)
薬価が高い(先発品しかない)

トリンテリックスの効果

トリンテリックスは、セロトニンを増加させる作用が基本になります。このため、落ち込み、不安に対する効果が期待できます。不安に対しては、とくに発作的な不安(急性不安)には効果が期待しやすいです。後述しますが、トリンテリックスは副作用のマイルドさや、中止のしやすさが強みのお薬になります。気分に波がありそうな方(双極スペクトラム疑い)のうつ状態に向いています。双極スペクトラム障害に抗うつ剤を使うかは議論のあるところですが、トリンテリックスは離脱症状が比較的少なく中止がしやすいためです。

効能または効果に関連する注意

医薬品情報


総称名トリンテリックス
一般名ボルチオキセチン臭化水素酸塩
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。

トリンテリックスの副作用トリンテリックスの副作用は、比較的マイルドになります。昔の抗うつ剤と比べると明らかに副作用は少なく、使いやすいお薬になります。トリンテリックスの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

CANMATの抗うつ剤副作用

トリンテリックスの副作用として中心になるのはセロトニンを刺激してしまうことでの副作用です。嘔吐や下痢といった胃腸障害、睡眠が浅くなる不眠、性機能障害といった症状が想定され、この中では嘔吐が最も目立ちます。しかしながら嘔吐くらいで、ほとんどの場合が1週間以内に収まります。不眠や性機能障害は、他の抗うつ剤と比較すると少なめ。お薬承認時のトリンテリックスの副作用頻度は、悪心(19.0%)傾眠(6.0%)頭痛(5.7%)下痢(4.1%)浮動性めまい(3.3%)便秘(2.9%)嘔吐(2.8%)このようになっています。またトリンテリックスは、離脱症状は少ないです。トリンテリックスの剤形と薬価トリンテリックスのお薬としての特徴についてみていきましょう。まずトリンテリックスは、先発品のみの発売となっているお薬です。このため剤形の選択肢が少ないです。現在トリンテリックスで発売されているのは、10mg錠剤、20mg錠剤の2剤形になります。真ん中に割線が入っていので、半分に分割することができます。先発品のみになりますので、薬価が高くはなってしまいます。10mgカプセル:161.7円20mgカプセル:242.5円※2023年4月現在の薬価になります。これに自己負担割合をかけた金額になります。

トリンテリックスの用法と効果のみられ方

トリンテリックスは、以下のようなお薬になります。開始用量:10mg用法:1日1回、最高用量:20mg剤形:錠剤(10mg・20mg)トリンテリックスは10mgから使えるお薬ですが、吐き気の副作用を和らげるために、5mgから開始していくことが多いです。トリンテリックスは1日1回服用を続けることで、少しずつ効果が期待できるお薬です。食事の影響は受けにくいのですが、(他の抗うつ薬だと食欲増進作用有)夕食後などに服用することが多いです。およそ2週間~1か月ほどして効果の実感がみられることが多いかと思います。トリンテリックスを開始すると、副作用の問題がなければ10mgで経過をみていきます。その後は2週間ごとに効果を判定していきます。効果が不十分な場合は、20mgまで増量することができます。最高用量の20mgまで使っても効果が不十分な場合は、他の抗うつ剤を追加抗精神病薬や気分安定薬を追加(増強療法)他の抗うつ剤に変更薬物療法のアプローチの変更(診断の見直し)を検討していきます。

【参考】トリンテリックスの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、半減期:血中濃度が半分になるまでの時間最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間が重要になってきます。トリンテリックスは、半減期(T1/2):67.63時間最高血中濃度到達時間(Tmax):12.0時間となっています。トリンテリックスは12時間でピークになり、そこから67時間以上かけて半分の量になるということになります。きわめて長いお薬といえます。お薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定していきます。およそ半減期の4~5倍の時間で安定するといわれていて、このようになると定常状態と呼ばれます。ですからトリンテリックスの血中濃度は、安定するまでに2週間ほどかかります。

【参考】トリレキ療法

トリンテリックスは、抗うつ剤の中でも副作用が少ないお薬になります。唯一、吐き気の副作用だけが問題となります。抗うつ剤の副作用が過敏に生じてしまう方には、トリンテリックスは非常に良い選択肢になりますが、その唯一の吐き気を軽減するために、抗精神病薬のレキサルティを少量併用すると、スムーズにお薬に慣れていくことができます。これを当法人の医師内で、「トリレキ療法(トリンテリックス+レキサルティ)」とよんでいます。レキサルティにはセロトニンの働きを増強させる効果が期待でき、抗うつ剤の効果増強も期待できます。私が追加で調べて見たら、レキサルティがダメな場合、エビリファイで調節する精神科医の方も居るそうです。

服用時期で注意するトリンテリックスの副作用

トリンテリックスの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

抗うつ剤の服用時期と副作用をまとめました。

トリンテリックスの飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群(アクチベーション シンドローム)があげられます。中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚して躁転してしまったり、不安や焦りが高まって衝動的に、自殺企図をしてしまうことがあります。こういった異様な精神状態が認められた場合は、すぐに中止してください。そして飲み始めには、セロトニンを刺激してしまうことによる副作用が認められることが多いです。トリンテリックスの副作用として最も多いのは、吐き気になります。その他にも様々な副作用が生じることがありますが、多少であれば服用を続けるうちになれることが多いです。そしてトリンテリックスは、お薬を減量していく際には離脱症状が生じる場合があります。トリンテリックスは作用時間が長いお薬なので、離脱症状は少ないです。ですが長期服用しているとトリンテリックスが身体に慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまう可能性があります。少しずつ減量していくことが必要です。

抗うつ剤の副作用の症状を簡潔にまとめました。

トリンテリックスの副作用の対処法

トリンテリックスの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。トリンテリックスの副作用が認められた場合、何とかなるなら様子を見る(経過観察)が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、収まっていくことが多いためです。生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

トリンテリックスの副作用で多くの方が気にされるのが、眠気が強いのか、太るのかどうかという2点です。また、トリンテリックスに多い副作用が、胃腸症状になります。お薬の承認時の副作用報告をみると、悪心(19.0%)傾眠(6.0%)頭痛(5.7%)下痢(4.1%)浮動性めまい(3.3%)便秘(2.9%)嘔吐(2.8%)となっています。

トリンテリックスと眠気・不眠

お薬承認時のトリンテリックスの副作用頻度では、不眠:1.2%、眠気(傾眠):6.0%となっています。トリンテリックスは、セロトニン受容体に幅広く働くことで効果を発揮します。その結果として、不眠になることも眠気をきたすこともあります。他の抗うつ剤と比較すると、眠気は比較的少ないといわれています。トリンテリックスで眠気が認められた場合の対処法としては、慣れるまで待つ、服用のタイミングをかえる(就寝前)服用を2回にわける、お薬の量を減らす、他の抗うつ剤に変更するといったことがあります。反対に不眠が認められている場合の対処法は、慣れるまで待つ、睡眠の質の改善を図る、服用のタイミングを変える(朝食後)レスリンなどの鎮静系抗うつ剤を追加する、お薬の量を減らす、他の抗うつ剤に変更するといったことがあります。

トリンテリックスと体重(太る?痩せる?)トリンテリックスと体重について心配される方も少なくありません。食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。トリンテリックスは、お薬の特徴として体重増加しやすい要素は少ないお薬になります。そして実際に体重増加の報告も少なく、お薬承認時のトリンテリックスの副作用頻度では、体重増加:0.9%、食欲減退:0.7%、食欲亢進:0.2%となっています。トリンテリックスを開始した直後は、吐き気や下痢から体重減少をきたすことが多いです。長期に使っていくと心身の状態が改善に向かい、元気になって食欲が増加していくことは自然です。トリンテリックスで太ってしまった場合の対処法としては、生活習慣を見直す、運動習慣を取り入れる、食事の際によく噛むようにする、お薬の量を減らす、他の抗うつ剤に変更するといったことがあります。

トリンテリックスと胃腸症状

トリンテリックスの副作用で最も多いのは、胃腸症状になります。承認時の臨床試験では、悪心(19.0%)下痢(4.1%)便秘(2.9%)嘔吐(2.8%)このようになっています。この原因は、トリンテリックスによるセロトニン刺激作用になります。セロトニンは脳だけでなく、胃腸にも作用してしまいます。胃腸が動いてしまうことが多く、吐き気が認められるときは下痢も認められることが多いです。その一方で、便秘になることもあります。トリンテリックスには、吐き気を誘発する5‐HT3受容体をブロックする(アンタゴニスト)作用があります。ですが実際には症状の程度や頻度も、そこまで大きくかわりません。この胃腸症状は飲み始めがピークで、数日して徐々に慣れていくことが多いです。このためトリンテリックスで胃腸症状が認められた場合の対処法としては、慣れるまで待つ、お薬を少しずつ増量する、服用を2回にわける、胃腸症状を和らげるガスモチンなどを併用する、他の抗うつ剤に変更するといったことがあります。

トリンテリックスの離脱症状と減薬方法

トリンテリックスを減量していく場合には、離脱症状は少ないとはいえ、生じる可能性があります。トリンテリックスを長期間服用していると、からだにお薬があることが当たり前になっていきます。その状態で急激にお薬を減らしてしまうと心身に不調が生じてしまうことがあります。身体症状:しびれ・耳鳴り・めまい・頭痛・吐き気・だるさ精神症状:イライラ・ソワソワ感・不安・不眠特徴的な症状:シャンピリ感・ビリビリする。これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。トリンテリックスは、作用時間が非常に長いお薬になります。このため離脱症状は少ないといわれていますが、離脱症状を防ぐためには、トリンテリックスの減量は少しずつ行っていくことが無難です。まずは少しずつ量をへらしていきます。離脱症状は、抗不安薬(精神安定剤)を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。

トリンテリックスの運転への影響

抗うつ剤はこれまで、運転や高所作業などの危険作業などは禁止とされていたお薬でした。抗うつ剤にかぎらず、心の病気の治療薬は多くが運転禁止となっていました。眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性が少しでもある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得なかったのです。このことは心の病気の患者さんの社会復帰を妨げるとして、抗うつ剤については少しずつ緩和されていきました。2016年よりSNRIが「運転禁止」から「運転注意」となりました。その後の発売で眠気の副作用が比較的マイルドなトリンテリックスは、発売時点での添付文章の記載から以下のようになっています。眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、これらの症状を自覚した場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者に指導すること。ですから、トリンテリックスでは運転は可能になります。ただし、はじめて使ったときや他のお薬からの切り替えをしたとき、量を増減させているとき、体調不良を自覚したときは運転はできるだけ控えるべきです。

トリンテリックスの妊娠・授乳への影響トリンテリックスの妊娠への影響から見ていきましょう。トリンテリックスのお薬の添付文章には、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。このように記載されています。もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらトリンテリックスを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくほうが良いかと思います。トリンテリックスには、人での明かな奇形のリスクの報告はありませんが、発売されて新しいお薬なので情報も少ないです。トリンテリックス服用しながらの心身では、念のため、産まれた後の赤ちゃんにも気を配る必要があります。胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。これによって、離脱症状が生じる可能性があります。早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。次に、トリンテリックスの授乳への影響をみていきましょう。トリンテリックスのお薬の添付文章には、授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。このように記載されています。母乳で育てない選択肢もとれることから、このような記載になっています。しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、トリンテリックスを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。それでも副作用や成長への影響はないという報告がありますが、乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠に関する基準

妊娠に関する海外の基準であるオーストラリア分類で、トリンテリックスは以下に分類されています。B3:妊婦および妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察さていない。動物を用いた研究では、胎児への障害の発生が増えるという証拠が得られている。しかし、このことがヒトに関してどのような意義をもつかは不明である。つまり、「動物実験では赤ちゃんへの障害が増えるというデータはあるけど、いままでの患者さんの中では、何か不利益が増加したという報告はない」ということになります。トリンテリックスは、海外でも2013年から発売されているお薬になりますので比較的新しい抗うつ剤です。日本では2019年に発売されています。お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。(先発品)トリンテリックスのジェネリックは、この特許が切れた後に発売されます。(後発品)ですからトリンテリックスのジェネリックは、10年ほど先の発売になるかと思います。ジェネリック医薬品の名称は、近年は薬の一般名がつけられます。トリンテリックスであれば、ボルチオキセチン錠になるかと思います。

【参考】トリンテリックスの作用機序最後に、トリンテリックスの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。トリンテリックスは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。トリンテリックスなどの抗うつ剤は、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。セロトニン(不安や落ち込み)ノルアドレナリン(意欲や気力の低下)ドパミン(興味や楽しみの減退)これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています

抗うつ剤の神経伝達物質と症状の関係についてグラフでまとめました。トリンテリックスはこれらの物質のうち、セロトニンの働きに主に関係します。効果につながる作用は大きく2つあると考えられています。セロトニン再取り込み阻害作用(SERT阻害作用)セロトニン受容体調節作用(5‐HT1A・1Bアゴニスト、5‐HT1D・3・7のアンタゴニスト)※アゴニストは刺激、アンタゴニストはブロックセロトニンなどのモノアミンは、役目を果たすと不要になるため、再取り込みという形で回収されていきます。トリンテリックスはこの働きの邪魔をして、セロトニンの働きを強めます。そしてセロトニンは受容体に結合することで作用が発揮されていきますが、セロトニン受容体には様々な種類があり、刺激されることで以下のような作用があります。5‐HT1A:抗不安効果や抗うつ効果→抗うつ剤のメインターゲット5‐HT1B・1D:血管平滑筋の収縮→刺激するお薬は偏頭痛の治療薬5‐HT3:吐き気を誘発→ブロックするお薬は制吐剤5‐HT7:おそらく記憶や学習に関与。これらの物質が直接的に効果があるのならば、すぐにでも抗うつ効果が認められるはずです。しかしながら実際には、2週間くらいかけて効果が認められます。タイムラグがあることは、トリンテリックスなどの抗うつ剤の作用が単純ではないということを意味しています。トリンテリックスはこれらの複数のセロトニン受容体への作用を介して、副次的にセロトニンだけでなく、ノルアドレナリンやドパミン、アセチルコリンやヒスタミンなどの遊離が調節されると考えられています。このため抗うつ効果のあるセロトニン受容体が刺激されるだけでなく、さまざまな受容体への作用が複合的に効果を発揮すると考えられています。私談ですが、1年以上トリンテ10mg使用して元々睡眠障害もあり、デパス1ミリ使用で寝れてたのに、親の介護が重なり、精神的にも肉体的にも限界なくらい負荷がかかり過ぎて、亡くなってから体調が戻るのに、半年ぐらいかかり、それから10mgじゃ効果が薄れ始め、今年の1月1日丁度のタイミングで20mg開始したけど、3週間すぎてから、いきなりデパス1ミリ効かなくなりました。今では睡眠薬6mgじゃないと寝れなくなりました。多分トリンテを20mgに変更したからだと個人的に思ってます。トリンテ増量すると、こういう事もあるので気をつけて下さい。私は副作用は浮遊性目眩と頭痛くらいで済んでます。あと睡眠薬はオレキシン受容体(デエビゴ)とロラゼム先発品(ラメルテオン) メラトニン受容体です。後発品のラメルテオンを使用したらめちゃくちゃな中毒症状が出た為(デエビゴも)使用出来ず。デパスの前にマイスリー(ゾルピデム)処方されたものの、一切効果はなかったです。トリンテが処方されて2ヶ月経ってたのもあるかもですが。非ベンゾジアゼピン系ですが、非ベンゾジアゼピン系もベンゾジアゼピン系も依存性に大差はないとネットでそういう意見が多くありました。

抗うつ剤の依存性と離脱症状

抗うつ剤のもうひとつの問題が、「離脱症状」です。抗うつ剤は、服用を続けていても効果が弱くなることはありません。このため厳密には「依存」とはいいません。しかしながら身体依存である離脱症状が強く現れることがあり、そのせいで減薬できないこともあります。

2つの要因でまずはお薬の要因お薬による依存を考えていくには、3つのポイントがあります。身体依存、精神依存、耐性です。

身体依存

抗うつ剤の服用を続けていると、脳に何らかの変化をあたえて効果が発揮されます。

このように身体が抗うつ剤から慣れた状態が続くと、急にお薬が減らそうとすると離脱症状となって心身の不調をきたすことがあります。抗うつ剤は離脱症状が強く出てしまうことが多いです。お薬によってもSSRI:パキシルSNRI:サインバルタ・イフェクサーは、離脱症状が比較的多いお薬になります。

精神依存
精神依存とは、「お薬がないと不安」といったように、精神的にお薬が頼りになってしまう状態のことです。抗うつ剤は効果が表れてくるのに2~4週間ほどかけてジワジワという形ですので、精神依存につながりにくいお薬です。少しずつ過敏さが薄れ、「だんだん気にならなくなってきた」といった表現をされることも多く、精神依存には繋がりにくいです。
耐性

耐性とは、お薬の効果が徐々に薄れてしまい、身体に慣れていくことです。抗うつ剤には耐性は認められず、服用を続けていても効果が弱まってしまうものではありません。このため効果が薄れてしまって、増量しなければならなくなるお薬ではありません。