ロボトミーは精神病の治療法の1つで、狭義では前頭葉白質切截術である。広義的には精神外科手術全般を指す。人類最悪の手術、呪われた手術と言われている。脳の構成をする大きな単位である「葉(Lobe)」を一回に切除することを意味するLobectomy(葉切除)がロボトミーといわれるようになった。ロボトミーは、アントニオ・カエターノ・デ・アブレウ・フレイレ・エガス・モニスは、ポルトガルの政治家、医者である。彼は1925年に脳血管造影法を考案した。腰化ナトリウム溶液を患者の頸動脈から注入し、X線で観察すると不透明な影となって映し出した。

この血管造影の功績で二度ノーベル賞の候補に選ばれたが、いずれも落選している。

精神病は、古代ギリシャ・ローマ時代において1. 神の呪い、悪魔・悪霊によるものと考えられ魔女狩りなど残酷な扱いうけるものと

2. 体質・身体的原因による病気と考えられ治療が行われた。16世紀末から17世紀にかけてヨーロッパでは大規模な精神病者の収容施設(アサイラム)が作られ、精神病者は社会秩序を乱す人々として隔離・拘束する目的で使用された。当然施設内では自由を奪われた状態であった。1793年フランスのフィリップ・ピネル、ジャン=バチスト・ピュッサンがビセートル病院の閉鎖病棟の患者の処遇を改善し、梗塞・鎖の排除を行い、作業療法を取り入れた。1933年に統合失調症の治療としてインシュリンショック療法が開発された。空腹時にインスリンを皮下注射し強制的に低血糖による昏睡を起こし1時間後にグルコースを注射して覚醒させる治療法、クロルプロマジンが開発された1950年代以降はすたれたが中華人民共和国、ソビエト社会主義共和国連邦などでは1970年代まで行われていた。



1913年野口英世によって進行性麻痺患者から、梅毒の病原菌「スピロヘータ・パリーダ」の分離が成功し、進行性麻痺が脳の梅毒であることが確定された。スピロヘータは39度以上では死滅するので、ヴァーグナー・ヤウレッグが進行性麻痺患者に対してマラリア発熱療法を創始した。1938年イタリアのウーゴ・チェルレッティとルシオ・ビニにより統合失調症の治療法として電気痙攣療法が創始された。頭部に通電することで人為的にけいれん発作を誘発する治療法。電気痙攣療法は、脳内でてんかん発作の電気活動を、起こしその効果を得る療法である。発作に伴って起こる全身の筋肉のけいれんは、患者の状態によっては血圧を上昇させ、骨折の危険を伴う。そのため、循環器に疾患のある患者や、高齢その他の理由で骨折する恐れがある患者には筋弛緩剤の投与、人工呼吸管理、循環動態の観察を行いながら通電する「無痙攣電気痙攣療法」が行われることもある。現在はリチウムや抗てんかん薬はけいれんを生じにくくするので中止、ベンゾジアゼピン系薬物も痙攣を生じにくくするので減量、抗うつ薬は術中不整脈を起こす危険があるので中止する。短時間麻酔剤の注射による入眠後筋弛緩剤が注射され、約30秒~1分後に900mA、パルス幅0.25~1.5msecのパルス電流を1~8秒間コメカミまたは前額部などに通電する。繰り返し行うことにより痙攣派は生じにくくなり投与電気量を多くしなければならないことが多い。少数の患者は6セッション以下でも治療に反応するが大部分の患者は6~12セッションの範囲で週に2回のペースで実施される。