彼女の名前はSummer。上海出身のバリバリの中国人だ。しかも根っからの中国人気質でせっかちで、おせっかいで、おおざっぱ。
彼女は私が働いているサブウェイのマネージャーだ。
すごく口うるさく、責めるような口調でまくしたてる。相手に反論させる隙など与えず、とにかく自分の言いたい事を『話す』というか『投げつける』感じだ。
ある日仕事のストレスで、彼女に反抗した事があった。
原因は、ナプキンの置き方が違うという理由だった。しかし間違った置き方をしたのは私ではなく、正しい置き方も知っていた。
彼女はいつもどおり責めたてるように言葉を『投げつけて』きた。普通の口調で『話して』も彼女には届かないと思い、彼女と同じように『投げつけた』のだ。
「この置き方をしたのは私じゃないし、正しい置き方も知っている」と主張し立ち去った。
その後彼女は、私を遠目で見ていた。数分後呼び出されしぶしぶ彼女の後についていった。
「どうしたの?何があったの?」
と今まで聞いた事のないような優しい声で聞かれた。彼女がこんなにゆっくり話したところを聞いたことがなく、彼女の目を凝視し、ハッとした。
彼女の目は優しく穏やかな目をしていた。そしてその奥に、人間味のある悲しみや傷付いた姿が見えた。
私は最近感じている仕事でのストレスや自分の気持ちを恐る恐る話してみた。彼女は優しい笑みを浮かべ、とにかく話しを聞いてくれた。
マネージャーという立場の人間は、人を管理し間違いを正していく、そして従業員に規律を守らせる事が主な仕事だ。サブウェイなどのフランチャイズ業界なら、なおさら厳しい。マネージャーという立場は、従業員から恐れられ、避けられ、嫌われる。嫌なところ取りの仕事だ。人間として、それが誰であれ誰かから嫌われるのはとても辛いことだ。
それがSummerの仕事、サブウェイのマネージャー。
2013年3月シドニーにて
