菊人形展 | 錦鯉春助の冒険

錦鯉春助の冒険

日常の恐ろしき風景

 子供がまだ小さい頃、京阪沿線に住んでいた。


 当時の新聞販売店は顧客を獲得するためのサービスが認められていた


 京阪沿線だから頼めば【ひらかたパーク】の招待券を幾らでもくれた


 当時のひらパーの売りは菊人形展だった。


 日本の菊作りが盛んになったのは八代将軍・吉宗の江戸時代からだ。戦がなくなれば侍は対してやる事がない。


 菊作りには膨大な時間と努力がいる。博打と菊作りは親の死に目に会えないと言われた。


 菊人形展は大人でも何となく不気味だ。映画【犬神家の一族】では菊人形に人間の生首が混じるシーンがある。


 横溝正史は犬神家の一族で暴力や近親◯姦やを始め、あらゆる禁忌を書いた。よくもあれだけ不気味な小説が書けると感心する。


 夏はひらパーのプールへ行く。やはり小さな子供を連れた20代後半から30代前半のお母さん達が変哲のないワンピースの水着で遊んでいる。


 これが容姿に関係なく色っぽくエロい。何故なら隙だらけだからだ。無防備の女ほどエロいモノはない。三島由紀夫は◯縛された女はエロスだと書いている。


 そして妄想癖のある僕は目の前に晒されたお母さんの太腿を横目で見ながら、旦那にはどう開くのか想像の世界に入ってしまう。


 妻も同じ頃の年齢だが子供が出来てからさっぱりごぶたさだ。


 時々、釣った魚に餌はやらないのかと叱られる。あれだけ惚れて結婚したのに。


 それで期待に応えるのであるが、次の朝は妻の瞳が濡れてキラキラ輝いている。ホルモンのせいだろう。


 その時に僕は自分の愚かさに打ちのめされた。妻はまだ30代前半の普通に性欲を持つ女性だ。


 だが僕は知らぬ内に子供や僕の、つまり錦鯉家の母親を押し付けていたのだ。僕は恥じた。


 この事がなかっら長い夫婦関係は続かなかっただろう。