術後のドクターの説明に、あたしは呼ばれなかった。

パパと叔母だけが部屋に呼ばれ、
叔母は泣きながら出てきた。



おじいちゃんはその間ずっと、

『何も心配することはねえよ。』


っていってくれたけど、
それがなんの根拠もないことはわかっていた。




そして抗がん剤治療が始まった。

ドラマみたいに髪の毛は抜け落ち、
眉毛も陰毛もすべてなくなった。



副作用がひどく、
嘔吐するか耐えるかのどちらかをして1日がおわる。

口からの食事もほとんどできない。
笑うこともないし、
すごくたまに話す声も力がなく小さい。



ある期間が過ぎるとちょっと元気になり、
一時帰宅もできる。

でも、このときに風邪ひとつ引いたら最後。
今は免疫力が弱いため、本当に死が見える。




外出もできないので、
ずっとハードに働いてきたママにとっては
いろんな意味でつらかったと思う。




病室の不安。
治療費の不安。
仕事復帰の不安。


抗がん剤治療がはじまってすぐ、
我が家で12年可愛がってきた愛猫がなくなった。
ママの目の前で突然だった。

ママは、ずっと泣いていた。