この遍歴シリーズ。
バイトじゃなくて社会人になってからを書いてもよかったかなと後悔。
それだけでも結構色んな意味で味があるので(笑)
でももう始めちゃったしこのまま突っ走りますよー!
④キャンギャル
時給1200円。
場所は羽田空港国際線の免税店。
この仕事がいちばん長く続けられたしすべてに満足できた唯一のもの。
当時19歳だったあたしが大学卒業の22歳まで続け、沢山の事を学べた。
販売担当は高級ウイスキー。
まだ酒の美味しさを知らなかったあたしはただPRするだけだった。
(ていうか未成年だったし)
お酒の旨さを知り、休憩中にウイスキーを味見するようになってスタンスを変えた。
顧客のほとんどは男性だったが、女性にもお買い上げ頂く事ができた。
女のあたしが実際に飲んで、飲みやすい飲み方を案内しなければできなかった事だ。
在庫や売上のことを念頭におき、どの仲間より数字をあげてやると意気込んだ。
ある時は売れ行きが良すぎて在庫がなくなってしまい、
「今日はもうこっちのPRはほどほどにして下さい」と社員さんに言われた事もあった。
国際線ということもあり、顧客も店員も韓国人が9割。
あたしは韓国語は挨拶程度しか話せないが、
接客は持ち前と海外一人旅で身に付けた日常英会話で事は足りた。
上海人や欧米人などもいて、連絡先を書いた紙をもらったこともあった。
キャンペーンの内容によって制服が変わるので、
ゴルフウェアや上下白のスーツなど普段は着られないものが着られる。
空港という場所は芸能人や政治家など沢山の有名人も利用するため、
ファンだった人もべつにファンじゃない人を見ることができた。
キャンギャルには若さとスタイルと営業力が必要だ。
それなりに笑顔ができればモノは売れるし、数字でシフトが決まる。
⑤デパ地下のお惣菜屋さん
時給900円。
家から少し離れたところにある百貨店の地下にある惣菜屋。
ここに決めた理由は自分でもなぜかわからない。
ここの商品が好きだったわけでもないし、そもそも食べたこともない。
百貨店というのは、バイトであっても丸一日の研修がある。
朝から夜までしっかり拘束される上に賃金は支給されない。
お辞儀の仕方からお客様へのご案内の手の向け方など、
今考えれば馬鹿馬鹿しいが、こういう研修は無料では受けられないだろう。
仕事は難しくはなかったが、新人に対するスキルがあたしには高すぎた。
「もっとスピードをあげろ」といわれれば仕事を間違え、
「仕事を間違えるな」といわれればスピードは遅くなる。
こんなことの繰り返しで毎日怒られ、嫌な女に八つ当たりされた。
その上、他のお店よりも声を張り上げて商品をアピールし売上げないといけない。
お客さんのいない時でも大声を出さなければならず、
これにいったい何の意味があるんだろうと本気で不思議だった。
この仕事に向いていないことはすぐにわかった。
辞める時も散々嫌味をいわれ、二度と百貨店では働かないと決めた。
⑥米軍基地内のマック
時給780円。
近所にベースがあり、その中のマックのバイトを見つけた。
時給の安さはまさに破格だが、キャンギャルのバイトと掛け持ちで始めた。
ベース内には、学校やスーパーや病院等がすべて揃っており、
お客さんは当然アメリカ人がほとんど。
留学せずに英会話を磨けるチャンスだと思った。
メニューも日本とは違いアメリカンで、支払いはドル。
仕事も難しくはなくすぐに馴染むことができた。
バイトを始めて3か月。
あたしはあることに気付いた。
バイトでする会話はあくまでマックの店員用語しか話していない。
つまりバカでも暗記さえしていればできる会話なのだ。
「オニオン抜きで」「ピクルス抜きで」などのこだわりを言う人や、
いつも電話番号を聞いてくる面白い常連さんもいたが、
それはいつものジョークだしそれ以上会話が続くことはない。
マックの店員では英会話は磨けないのだ。
だって英語を話す人はお客様だけなのだから。
ここでの経験ができただけでよかったと思えた。