階段から落ちて数日。
時間が経つごとに痛む脚。
痛い。
腫れてる。
とまらない出血。
「骨折」
ずっと目を背けていたこと。
今日、勤務中にもかかわらず
会社の人達にいわれ渋々外科へ行った。
骨折でググり、
現役ナースの母親にも聞いていた。
ひびでも骨折でも松葉だと。
あたしはとにかく松葉杖生活が嫌だった。
本当に嫌だった。
運動神経のまったくないあたしが
松葉杖なんか使ったらまたこけるに決まっている。
そしてもっとひどい怪我をする。
確実にこける自信があった。
片手ならまだましなはずだ。
不便には違いないが
あたしは両利きだし、歩けるんだからましな気がした。
ああ!
なんで脚なんて怪我したんだろう!
酔ってたわけでもないのに
なんで階段から落ちたんだろう!
外科にかかるなんて思いもしなかった。
「今日はどうなさいましたか?」
「先週、ちょっと階段から落ちてしまいまして…
右脚が痛くて腫れてる気がして骨が不安で…」
足首を痛めていないことや
手が無傷であることから
先生は本当に階段から落ちたのか疑っているようだった。
「どうやって転んだんですか?」
「手はつかなかったんですか?」
最初の一歩から階段の終わりまであっという間でしたよ!
手なんかつく暇なかったよ!
お約束のレントゲンを撮り
ほんの少しの間待つ。
「今日から松葉杖生活か…」
診察に呼ばれると先生は開口一番、
「骨には問題ありませんね。」
骨には問題ありませんね?!
マジかよと思いながら初めて見る自分の脚の骨。
あたしの骨はすごく綺麗だった。
「ただ、これだけ腫れているので
かなり強い衝撃だったと思います。
骨折しなかったのは奇跡だと思ってください。
痛み止めの入った湿布をお出しします。
傷は消毒だけじゃなくて軟膏も塗らないとだめです。
鎖骨とお顔にも傷があるようですので
同じものを塗ってください。
お風呂はやめてシャワーにしてください。
なるべく脚は高めにして…」
地味な女医さんはまくしたてていた。
今まで傷には消毒だけしていたんですと言うと、
傷を治す気と女の自覚があるのかという顔で見られた。
「軟膏も塗らないとだめです。」
「それと、痛み止めの飲み薬もお出ししますか?」
「痛みは…まだ我慢できるのでたぶん…」
「我慢はしないでください。」
薬売りたいのわかるけど怒られた。
松葉杖生活にならなくて本当によかった。
あたしは今頃また死にたくなっていただろう。
入院生活も免れて本当によかった。
入院なんかしたら、
1週間でうちの家賃分もかかってしまう。
毎日美味しくもないごはんと
団体の部屋での生活なんてもうおなかいっぱいだ。
でもこれ労災なんだって!
これから手続きかよー!
かいだんこわい。
まんじゅうこわい。
時間が経つごとに痛む脚。
痛い。
腫れてる。
とまらない出血。
「骨折」
ずっと目を背けていたこと。
今日、勤務中にもかかわらず
会社の人達にいわれ渋々外科へ行った。
骨折でググり、
現役ナースの母親にも聞いていた。
ひびでも骨折でも松葉だと。
あたしはとにかく松葉杖生活が嫌だった。
本当に嫌だった。
運動神経のまったくないあたしが
松葉杖なんか使ったらまたこけるに決まっている。
そしてもっとひどい怪我をする。
確実にこける自信があった。
片手ならまだましなはずだ。
不便には違いないが
あたしは両利きだし、歩けるんだからましな気がした。
ああ!
なんで脚なんて怪我したんだろう!
酔ってたわけでもないのに
なんで階段から落ちたんだろう!
外科にかかるなんて思いもしなかった。
「今日はどうなさいましたか?」
「先週、ちょっと階段から落ちてしまいまして…
右脚が痛くて腫れてる気がして骨が不安で…」
足首を痛めていないことや
手が無傷であることから
先生は本当に階段から落ちたのか疑っているようだった。
「どうやって転んだんですか?」
「手はつかなかったんですか?」
最初の一歩から階段の終わりまであっという間でしたよ!
手なんかつく暇なかったよ!
お約束のレントゲンを撮り
ほんの少しの間待つ。
「今日から松葉杖生活か…」
診察に呼ばれると先生は開口一番、
「骨には問題ありませんね。」
骨には問題ありませんね?!
マジかよと思いながら初めて見る自分の脚の骨。
あたしの骨はすごく綺麗だった。
「ただ、これだけ腫れているので
かなり強い衝撃だったと思います。
骨折しなかったのは奇跡だと思ってください。
痛み止めの入った湿布をお出しします。
傷は消毒だけじゃなくて軟膏も塗らないとだめです。
鎖骨とお顔にも傷があるようですので
同じものを塗ってください。
お風呂はやめてシャワーにしてください。
なるべく脚は高めにして…」
地味な女医さんはまくしたてていた。
今まで傷には消毒だけしていたんですと言うと、
傷を治す気と女の自覚があるのかという顔で見られた。
「軟膏も塗らないとだめです。」
「それと、痛み止めの飲み薬もお出ししますか?」
「痛みは…まだ我慢できるのでたぶん…」
「我慢はしないでください。」
薬売りたいのわかるけど怒られた。
松葉杖生活にならなくて本当によかった。
あたしは今頃また死にたくなっていただろう。
入院生活も免れて本当によかった。
入院なんかしたら、
1週間でうちの家賃分もかかってしまう。
毎日美味しくもないごはんと
団体の部屋での生活なんてもうおなかいっぱいだ。
でもこれ労災なんだって!
これから手続きかよー!
かいだんこわい。
まんじゅうこわい。