ここでのお仕事は、

まずお客さんが入ってきたらすぐにボトルをさがす。


おしぼりを渡して、
ボトルとお通し、コースター、割り箸を用意する。
これをセットという。


お通しは、ママがその日に作る。


新規のお客さんなら飲み物を、
常連さんなら飲み方を聞いて、
ドリンクをつくる。


お客さんの名前を書いて伝票を起こす。



卑猥な会話は禁止。

源氏名は希望があれば。
あたしは本名の一部のアヤにしました。


名刺はなし。

お客さんとの連絡先交換、店外デート、同伴禁止。
あたしひとりでお客さんとのアフターも禁止。


『妊娠でもさせられたら冗談じゃない。』


というのがママの考えだった。


お客さんの8割が常連さんで、一見さんは2割。



まずは常連のお客さんに、
『アヤ』の名前と顔を覚えてもらうこと。



お客さんの顔と名前を覚えるのが先決だった。



あたしは人見知りをしないので、
すぐになかよくしてもらえた。



常連さんはみんないい人ばかりだった。


ママやレナさんと比べて、
あたしは素人そのものに見えたのかもしれない。