2週間後。
Kのラストイベントが行われた。


朝6時。
店前まで黒いタクシーを乗り付け、
あたしは13番テーブルについた。


過去最高額のワインを卸した。


自分の卓ではじめてのシャンパンコール。


数十万がこの一瞬でなくなることは、
特になんとも思わなかった。


この日、全卓でKのためのボトルが入った。


馬鹿みたいに飲んで騒いで、
夜遅くまで続いた。



この馬鹿騒ぎが終われば、
担当はホストをあがる。
地元に帰る。


いくらお金があっても、もう会えない。



この日から1週間後。


Kが東京を離れるその日から、
あたしは歌舞伎町で働き始めた。


唯一の知り合いだった担当がいなくなった今、

歌舞伎町に知っている人は誰もいない。



あたしはひとり、
夜の歌舞伎町に飛びこんだ。