『もしもぉし!あたし!』
『おぅ。あの街行ってきたんだろ?どうだった?』

『楽しかったよ!知らないおにいさんが一緒に会計してくれた』
『は?マジで?にしてもだいぶ酔ってんなぁ(笑)』

『あっはは~♪とりあえずコンビニの前にいるから!』



あたしは無理矢理Kの店下で待ち合わせた。


暗闇にところどころ光がさしこむ薄暗い内装。
鳴り響くサイケ。
そこここにたちこめる煙草の煙。


並んだ黒服の男たちが一斉に声を揃える。


『いーらっしゃいやせぇ!!』


すぐにKが卓につき、
入れ代わりに拓弥、翔ちゃん、優雅がヘルプについた。


みんなルックスもよくトークもよかったが、
中身がないので特に何も残らない。


細い客のくせに偉そうに担当の好きなワインを卸して、

日常を忘れるために飲んで馬鹿騒ぎをした。



会計をして担当に送られ外に出ると、
嫌気がさすほど日の光がまぶしい。



店前で乗ったタクシーを駅前で降りる。



平日の昼間。
新宿駅は行き交う人でごったがえしていた。



頭がふわふわする。

酔いの限界を超えたあたしは、ようやく家路についた。