そのことは、あたしの休憩中に、どかどかと院長と副院長が入ってきて、
まくしたてられるように言われた。


あたしは入社して1年経っていなかった。



他のスタッフが、いつ急にやめたり休んだりするかわからないから、

早く入れというのが理由だった。



あたしはこのときすでに、自分がおかしくなっていると思っていた。



出勤しろといわれた来週のオペの日に、精神科の予約をしていた。

本当は言いたくなかった。



『実は、母のことで悩んでいて、今度精神科を受診しようと思ってるんです。』


すると


『あなたの気持ちもわからなくはないけど、他の人がいつ急にやめたり休んだりするかわからないから、入ってもらわないと困る。』



早くに母親を亡くした副院長にそういわれた。



今思えば、あたしはあの時すでに病気だったんだと思う。



人前では、例え親の前でも絶対に泣かない主義のあたしが、涙を流していた。



『この曜日に入れない理由でもあるの?』



だからさっき言ったのに…

それでも2人は、何度も同じ質問をした。



あれこれ早口にまくしたてた後、一方的に話は終わった。



『すでに病気になってるとか、やる気がないなら仕方ないから、精神科の先生になんて言われたか教えて。』




その後も何か言われた気がするが、覚えていない。


2人が出ていったあと、泣くのを堪えた。



泣いていたことがみんなにバレないように。