あたしは、

Kの客として最後に送られたことがうれしかった。



送りは最後がいいとは思っていたけど、

無理だとあきらめていた。



あたしが卸したものより高いシャンパンは、


他卓でいくらでも入っていたから。



送りの順番なんて、

ホストにとっては何の意味もないんだろう。



Kに貰った薔薇の花束をもって店下に出る。


もうすでに暗くなった外。

人通りも多い。


携帯で時間をみると20時だった。



早朝からずっと、あたしは何をしていたんだろう。



花束を抱えてサングラスをした女の子と、


白いスーツの泥酔した細い男。



あたしたちは誰がどう見ても、


ホストと客だった。