ある人があたしに言った。


「今まで言ってきたわがままを言ってみて。」


言われたとおりにするとその人は言った。


「そんなの、全然わがままのうちに入らないんだけど。」




あたしは結構なわがままの一部を教えたつもりだった。

でも、

わがままにしてはたいしたわがままとは言えないかもしれない。



で、思った。



あたしは1人っ子で甘やかされて育った。

周りの子をみて、自分はなんて甘やかされてるんだろうと何度も思った。

欲しいものとか筋の通った話で説明がつくワガママはきいてもらってきた。


でもそのかわりといっちゃ何だけど、

それ以外では父親の顔をうかがってたことは絶対に否定できない。

大袈裟かつ簡単に言うと自分を殺して色に染まる。

怒られるのが怖いから。

嫌われたくないから。

言うことを聞くいい子でいたいから。

だから考え方まで同じにしてきた。

自分に別の考えがあっても、

それに合わせるうちに影響されて本当の自分の考えがわからなくなる。



まぁ、そんなたいしたことじゃないんだけど。




女の子にとって父親っていうのは、生まれて最初にかかわる異性。

父親みたいな人を好きになったり結婚相手に選ぶ人もいるって訊く。

それが影響してるかはわからないけど、

聞き分けのいい女と都合のいい女の区別がいまだにつかない。


自分が本気でついていきたいと思う相手なら、

どんなに都合のいい女になってもいいかもしれないとも最近は思う。

そんな自分が一番嫌いだとも思う。


あたしはこれからも、好きになった人に嫌われないために

都合のいい女になっていくんだろうな。

だけどそのたびに

自分をかわいそうだと思うのはもうやめなきゃいけないのにな…