娘のピンちゃんは、ヒップホップを習っている。体を動かす系の習い事をさせたい、と思ってもう二年になる。踊る系なら、バレエかヒップホップ。消去法でヒップホップを選んだ。バレエってキャラじゃないわ、という私の勝手な判断により。


ピンちゃん、心が細いため、レッスンの先生が急遽来れない、となって代理の先生になると、途端に踊らなくなり、私にしがみつく。レッスン場の後ろでひっそりと見学モードに突入だ。


本当に心が細い。


ピアノに関しても心が細い。


上手く弾けないともう諦めてシクシク泣き出す。先日なんか「お腹が空いてもう動けない」と泣き始め、途中でレッスン中断して早退してきた。15分のレッスンに2000円を払う母親の気持ち…慮れ、娘よ…。


で、「お腹が空いてもう動けない」というのは嘘で、本当はピアノが弾けなくてプライドにより嫌になっちゃった、というのがレッスンを拒否した理由だ。


ピンちゃんが自らそう告白した。


ピンちゃん「ほんとはピアノが弾けないのが嫌で、お腹は空いてたわけじゃないの…お腹が空いてるって嘘ついたの…」


この、妙にプライドが高く、そのくせ投げ出し、別の理由にすり替えて逃げようとする卑怯な性格は誰に似たのか。私か?今井美樹のプライドばりに「私は今 南の一つ星を 見上げて…」などと現実逃避して歌い出したくなった。


さておき。


このピンちゃんの本音を引き出すまでに2時間をかけた。ピアノのレッスンから帰宅後、私が2時間ずっっっと、ずっっっっと、文句と愚痴を言い続け、感情のままにぶつけまくって怒ったからである。


怒りをここまで維持できる私はある意味すごいかもしれない。子育ては忍耐というが、私の忍耐は怒り続けられることかもしれない。そしてピンちゃんは心を入れ替えた模様。


何かにつけて「あのピアノのようにならないように頑張る。」と言い始めた。


先日のピアノのレッスンでは今までに見たことのないくらいの集中っぷりと、真剣さ。先生も誉めまくり。


こうして一つ一つ経験が積まれていく。


そして今度は息子のボンちゃんだ。


平日は家族の中で息子の小学校登校が一番遅く、最後に家を出るのが息子。よって戸締りは息子にかかっているのだが。


出勤中、あと3駅で会社…というところにきて、スマホが鳴った。


「おかあさーん、鍵が無い」


お、お前…今頃言うなて…!


我が家は、息子の鍵は、GPSと一緒に紐でまとめておるため、GPSの位置情報=鍵、となる。昨日息子は友達と遊んで帰宅したので、鍵がランドセルから移動してるはず。GPSの情報は昨日の16:30からずっと自宅を指していた。残念ながら自宅にある、というのはわかるが、自宅のどこにある、というところまではGPSは教えてくれない。おい、精度!


ということで、鍵がなければ戸締りできない、すなわち学校行けない、ということで私が出勤途中で引き返すはめに。なぜこういう時に父親でなく、母親に連絡をしてくるのか。


引き返す電車の中で、学校に遅刻連絡(学校はネットで遅刻欠席連絡できる)、会社の課長に遅刻連絡、夫に情報共有をして、ひいひい言いながら家に辿り着き、鍵を二人で探して、見つけて、息子を学校に送っていき(遅刻の場合は、教室まで保護者送迎必須)。


送り途中で「お母さん、先生には説明せんけん、あんたが遅刻の理由ば、説明しぃーよね!」とここが東京23区内ということも失念し、博多弁丸出しで息子に怒る。そして登校中に息子と先生あての説明シュミレーションなどをする。ショートコント大好き親子である。


息子「家の鍵がなくて…遅刻しました」


私「違うやろ!家の鍵が見つからなくて探していたため遅刻しました、やろが!ちゃんとわかるように説明し!」


息子「家の鍵が見つからなくて、探していて、お母さん待ってたら遅刻しました!」


私「お母さん待ってたら…じゃないよ!なんでお母さん待ってたのか、今度はそっちが気になるやん!お母さんは先に仕事で出勤していて、お母さんが引き返して来るのを待ってたら、て説明入れてよ!」


息子「家の鍵が見つからなくて、お母さんは仕事で出勤していて、僕が連絡して、お母さんが引き返して家に戻ってくるのを待って、鍵を探してたので遅刻しました!」


私「よぉし!!!」


と、説明準備までして教室まで送り届けた。先生に息子から説明させ、謝って教室に入る。これから会社に出勤だ。朝7:30に家を出て、会社に着くのは10:30だ。