【クアラトレンガヌ】 2日午前9時ごろ、トレンガヌ州ゴン・バダクにあるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアムの東ウィングの屋根が突然崩落した。当時、約19
人の労働者がスタジアムの清掃などをしていたが、けが人は出なかった。屋根部分の60%が崩壊し、メイン・エントランスや表彰台、客席などに大きな被害が出た。被害総額は2,500万リンギに上るという。3日に、公立高等教育機関によるスポーツイベントが開催される予定だった。
同スタジアムはゴン・バダク・スポーツ・コンプレックスの一部で、トレンガヌ州が所有。
3億リンギをかけて建設され、昨年5月10日に正式オープン。マレー半島東海岸地域最大のスタジアムで、アジアで初めて屋根部分が柱で支えられていないスタジアムだという。収容人数は5万人で、昨年5月のスポーツ・イベント「第12回マレーシアン・ゲームズ(SUKMA)」の会場にもなった。当初の建設費は2億5,000万リンギだったが、建設材料価格の高騰などを受け、3億リンギに膨張したという。
シャジマン・アブ・マンソル公共事業相は、建設業開発局(CIDB)が特別チームを結成し、崩落事故の原因究明を行うとコメント。今のところは建設業者を含め、責任の所在に言及す
ることは避けると述べた。その上で、スタジアムは昨年完成したばかりで2年間の保証期間にあるため、建設業者が補修工事の費用を負担することになるだろうと述べた。また、7人の死者を出したセランゴール州ペタリンジャヤの「ジャヤ・ショッピング・センター」の解体工事中の崩落事故(5月28日発生)に触れ、マレーシアの建築物が安全でないと世界に知らしめることになったと相次ぐ崩落事故に遺憾の意を表明した。
トレンガヌ州のアフマド・サイド首相は建築家やエンジニアなどの協力を得て事故の原因究明を行うとコメント。スタジアム建設がSUKMAの開催時期に合わせるために無理に早められたのがずさん工事、崩落に繋がったのではという質問に対しては、公共事業局(PWD)からスポーツ・ゲームの開催許可を得た上でのSUKMA
開催だったと述べるに留まった。
汚職摘発委員会(MACC)のトレンガヌ支部長、アフマド・サブリ・フシン氏は2日午後、崩落現場を訪れ、ずさん工事の可能性や州政府幹部からの工事早期完了に対する圧力などがなかったかどうか慎重に捜査すると述べた。
スタジアムの建設を担当したのは▽ビナ・ストラクトゥル▽エマルコン▽ゲンガム・メルキュー▽コンソーシアム・プロテック▽AZMエンジニアーズ▽サニバフリ・アーキテック▽MAAアソシエーツ--。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、6月3日、ザ・サン、ベルナマ通信、6月2日)