http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20090601ddlk37070301000c.html
香川県建築士会が、一昨日、昨日と行ったイベント「建築の光景」のチラシの裏面には、県内の近代建築の写真がずらりと並んでいます。丹下健三さん、大江宏さん、芦原義信さん(いずれも故人)など、日本の戦後建築の歴史を作ってきたと言える建築家の作品が多くを占めています。
イベントの実行委員長を務めた建築家、林幸稔さん(42)=高松市=は「建築をしている者にとって、香川は特別な場所なんですよ」と言います。昭和30~40年代の公共建築を中心として「名作」近代建築が数多くある地が香川なんだそうです。林さんは「建築家は有名な建築物を実際に見て、そこに作られた空間を感じて勉強します。そのために香川はぜひ訪れるべき土地であり、建築家の間では『香川詣で』という言い方もあるのですよ」と続けます。
チラシに載っている建築物に戻りましょう。1958年~2008年の41件の近代建築の写真があります。1番は丹下さん設計の県庁舎(58年、現東館)。2番は、丹下さんとは東大の同級生だった大江さん設計の県立丸亀高校(60年)。あと、芦原さん設計の旧県立図書館(63年、現アイパル香川)、丹下さんの県立体育館(64年)、日建設計の百十四銀行本店(66年)、安藤忠雄さんの「サンプレイスビル」(82年)などが続きます。
近代建築の記録、保存活動を進める国際組織「ドコモモ」の支部「ドコモモ・ジャパン」が選んだ日本の近代建築の「100選」(03年発表)には、県内から先の県庁舎、百十四銀行本店に加え、坂出人工土地(大高正人さん設計、74年)が入っています。県の人口規模などから考えると「100分の3」は確かに高い比率で、香川は近代建築の宝庫であることが実感できます。それでも、先の41件のうち4件が既に取り壊されていることもまた現実です。
県庁は新館(00年、現本館)も丹下さんの設計。2代の庁舎設計を丹下さんが手がけたという意味では、香川県は東京都と共通します。しかし、丸の内にあった旧東京都庁舎は今はありません。40年以上の時を隔てた丹下建築をいつも並べて見られる私たちは幸福といえるかもしれません。
林さんは「昭和30~40年代の建築物は、老朽化、機能面の不十分さなどに直面しています。一般の人たちも、県内に多くの名建築があるということをまずは知ってほしい」と話しています。私も名建築を見に歩きたいと思っています。【高松支局長・姫野聡】
【関連記事】
香川県建築士会が、一昨日、昨日と行ったイベント「建築の光景」のチラシの裏面には、県内の近代建築の写真がずらりと並んでいます。丹下健三さん、大江宏さん、芦原義信さん(いずれも故人)など、日本の戦後建築の歴史を作ってきたと言える建築家の作品が多くを占めています。
イベントの実行委員長を務めた建築家、林幸稔さん(42)=高松市=は「建築をしている者にとって、香川は特別な場所なんですよ」と言います。昭和30~40年代の公共建築を中心として「名作」近代建築が数多くある地が香川なんだそうです。林さんは「建築家は有名な建築物を実際に見て、そこに作られた空間を感じて勉強します。そのために香川はぜひ訪れるべき土地であり、建築家の間では『香川詣で』という言い方もあるのですよ」と続けます。
チラシに載っている建築物に戻りましょう。1958年~2008年の41件の近代建築の写真があります。1番は丹下さん設計の県庁舎(58年、現東館)。2番は、丹下さんとは東大の同級生だった大江さん設計の県立丸亀高校(60年)。あと、芦原さん設計の旧県立図書館(63年、現アイパル香川)、丹下さんの県立体育館(64年)、日建設計の百十四銀行本店(66年)、安藤忠雄さんの「サンプレイスビル」(82年)などが続きます。
近代建築の記録、保存活動を進める国際組織「ドコモモ」の支部「ドコモモ・ジャパン」が選んだ日本の近代建築の「100選」(03年発表)には、県内から先の県庁舎、百十四銀行本店に加え、坂出人工土地(大高正人さん設計、74年)が入っています。県の人口規模などから考えると「100分の3」は確かに高い比率で、香川は近代建築の宝庫であることが実感できます。それでも、先の41件のうち4件が既に取り壊されていることもまた現実です。
県庁は新館(00年、現本館)も丹下さんの設計。2代の庁舎設計を丹下さんが手がけたという意味では、香川県は東京都と共通します。しかし、丸の内にあった旧東京都庁舎は今はありません。40年以上の時を隔てた丹下建築をいつも並べて見られる私たちは幸福といえるかもしれません。
林さんは「昭和30~40年代の建築物は、老朽化、機能面の不十分さなどに直面しています。一般の人たちも、県内に多くの名建築があるということをまずは知ってほしい」と話しています。私も名建築を見に歩きたいと思っています。【高松支局長・姫野聡】
【関連記事】