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[東京 15日 ロイター] 大手ゼネコン4社の08年3月期決算見通しが15日、出そろった。大林組 <1802> を除く3社は、建築事業で受注時の採算性を重視した効果が出始め、完成工事総利益率の下落に歯止めがかかる見通し。ただ土木事業では、不採算工事の売り上げ計上や価格競争の影響で利益率の低下が継続する。
 一方、受注見通しは、公共事業の減少に加えて、各社とも受注時の採算性を重視している影響で減少する。特に、07年3月期に海外で大型案件の受注があった鹿島 <1812> や大成建設 <1801> は、反動が出て減少する見込み。 
 建築事業の完成工事総利益率(単体)見通しは、国内の機械・精密機器など製造業からの受注が好調で、3社が下げ止まりを見込む。
 鹿島は07年3月期に06年3月期比2.0ポイント減の6.4%だったが、「採算重視の効果が出てくる」(鹿島の山内秀幸経営管理部長)として、08年3月期は前期比0.1ポイント減の6.3%になる見通しを示した。
 大成建は07年3月期の4.9%(06年3月期は5.6%)が、08年3月期には5.2%に、清水建 <1803> は同6.0%(同7.1%)が同6.1%に改善する。
 「今期に入って建設資材、労務費など物価が受注時に比べ上昇している」(大林組の野間暎史副社長)とみる大林組のみ同6.0%(同6.3%)から同5.1%への下落継続を見込む。
 一方、土木事業の同利益率は、各社とも下落が続くと見る。価格競争が継続しているほか、海外不採算案件の売り上げ計上などの影響があるためという。
 大林組は07年3月期の9.4%が08年3月期は6.6%に2.8ポイント減少。清水建は同10.4%が同8.0%に、大成建は同10.4%が同8.9%に下落する見通し。鹿島は同9.4%が同7.2%になる。会見した大成建設の岡本敦副社長は、海外受注を慎重にしていると説明したが、不採算案件の売り上げ計上について「あと1―2年は続くだろう」と述べた。
 大成建の08年3月期営業利益は、前年比2.3%増の590億円で増益を確保する見通し。ロイターエスティメーツがまとめた主要アナリスト10人による予測平均値583億円をわずかに上回った。売上高は減少するものの、総合職を中心に自然減による人件費削減を進めており、販管費の削減効果が継続する。
 清水建設の08年3月期営業利益は、同3.3%増の525億円を予想。主要アナリスト9人による事前予測値548億円は下回ったが、増益を確保する見込みだ。同社は大型開発プロジェクトの売上高計上を見込んでいる。
 鹿島は前年比22.5%減の430億円と落ち込みを予想し、主要アナリスト9人による事前予測値623億円も大きく下回った。採算性の低い大型開発プロジェクトの売り上げ計上があるためという。
 大林組も採算性の低い工事の売り上げ計上が響いて同15.9%減の400億円を予想。主要アナリスト11人による事前予測値490億円を下回った。