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洋服を中心とするファッション業界で、アート作品とのコラボレーション(協同作業)の動きが活発化している。現代アーティストらが漫画家、手塚治虫の作品をモチーフにしたTシャツをデザインしたり、東京都渋谷区の大手アパレル直営店では毎月アート展が開かれていたり。背景にはアートの雰囲気を取り入れて商品販売につなげたい、との狙いがあるようだ。 

 国内大手アパレル、ワールド直営の洋服店「トーキョー ヒップスターズ クラブ」(東京都渋谷区)で2日、デザインアーティストのアラキミドリさんの展覧会「リコレクションズ・イン・ザ・ブランケット」が始まった。幼少時の記憶から生み出した、新作の証明作品やドローイング、映像作品を2階のフリースペースで無料公開する。

 2005年秋にオープンした同店1階にはジーンズやジャケットなどの洋服以外に、写真集や60年代のロックスターを取り上げたアート本、CDなどを置く。店内では毎月アート展を開催しこれまでにもレゲエ歌手のボブ・マーリーや60年代のキューバを取り上げた写真展で話題を集めてきた。

 ワールドのブランドマネジャー今井孝則さんは「若い消費者は商品が発信する空気感(イメージ)でモノを選ぶ。洋服だけでなく頭の中身(カルチャー)も買ってもらう店」と説明する。

 カジュアル衣料のユニクロは国内外のアーティストにデザインを依頼したTシャツで話題を呼んでいる。デザイナー、建築家、写真家、漫画家などがデザインした個性的なTシャツはすべて1500円。漫画の手塚作品をモチーフにしたものなど遊び心満点だ。ユニクロ広報部では「気鋭のアーティストがTシャツをキャンバスに見立てて、自由なファッションが生まれている。1500円で気軽にアートを楽しめる点も受けているのでは」と話す。

 阪急うめだ阪急(大阪市北区)で開催中のイベント「I●TーSHIRT(アイラブTシャツ)!」では、60年代ポップアートの巨匠、米アンディ・ウォーホルと日本のファッションブランド「ヒステリックグラマー」のコラボTシャツが話題を呼んだ。

 アートとのコラボは海外高級ブランドが先駆けだ。

 仏「ルイ・ヴィトン」は、現代アーティストの村上隆を起用したデザインを発表し話題となった。エルメスジャポンは東京・銀座のメゾンエルメス8階をギャラリースペースにし、写真展やアーティストの企画を開催している。

 カジュアル衣料から高級ブランドまで、ファッションブランドのイメージ戦略にアートが一役買う動きは今後も広まりそうだ。(滝川麻衣子)

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