http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070330-00000011-maip-soci

「こんないい家は残しておかなきゃ」。能登半島地震の被災地で、新潟市から来た長谷川順一さん(46)が住民に訴えた。長谷川さんはNPO法人「日本民家再生リサイクル協会」理事。新潟県中越地震(04年)以来、被災した古い民家の修復をアピールし続けている。
 建築士でもある長谷川さんが提唱するのは、伝統的工法と新しい方法を組み合わせる修復法。伝統的工法だけで修復するよりもコストを抑える。中越では145軒の古民家について相談を受け、8割を修復に導いた。
 きっかけは95年の阪神大震災。あらゆる住宅展示場で、木造建築のもろさを強調した、大手住宅メーカーのポスターが躍った。当時、新潟市の木造住宅メーカーに勤めていた長谷川さんは、思った。「木造建築でも耐震補強は出来る」
 その思いを中越地震で強くした。全壊、大規模半壊住宅の解体費用を全額負担する自治体もあり、当初は次々と古民家が取り壊された。
 被災地を回っては、説得を続けた。「被災したのは過疎集落。その町で家を再建する力はない。そうなれば集落も壊れてしまう。古民家を使い続けることで集落も維持できる」。能登半島地震の被災地も過疎化は深刻、共通点は多い。
 被災地でも、同じ考えを語るボランティアに出会った。「流れは少しずつ変わっている」。長谷川さんは手応えを感じている。【渡辺暢】